<レスリング>U17アジア選手権(キルギス)出場の男子フリースタイル・チームが帰国

 

 キルギス・ビシュケクで行われたU17アジア選手権に出場した男子フリースタイル・チームが6月15日、羽田空港に帰国した。51kg級の赤木烈王(兵庫・猪名川高)が優勝し、日本に4大会連続の金メダルをもたらし、92kg級で初の国際大会出場のリボウィッツ和青(東京・自由ヶ丘学園高)が銅メダルを獲得した。

▲金メダルの赤木烈王(左)と銅メダルのリボウィッツ和青

 昨年のこの大会で銀メダルを取り、主将としてチームを牽引した赤木は「金メダルは本当にうれしいです」と喜びいっぱい。会場が昨年と同じということもあり、雰囲気も慣れていて落ち着いて闘えたと言う。初戦の2回戦でウズベキスタン選手にテクニカルフォールで勝ち、「波に乗れた。この勝利が続くイラン選手に勝てた要因」と振り返った。

 決勝は未知のインド選手との試合。最近のこの世代の男女を問わないインドの躍進は知っていたので、「大激戦になると思った」と言う。確かに強い選手で、ポイントを先制されてしまったが、「絶対に勝つ、という執念で最後に逆転できました」とのこと。逆転を引き起こしたのは、距離を取って逃げる相手用に練習を繰り返している大内刈り。「国内でも、何度も成功している技です」と話し、日ごろの練習の成果の逆転勝ちだったようだ。

 「この勢いでインターハイを勝ち、いずれ世界で勝ちたい」と目を輝かせた。

 リボウィッツは、銅メダルに「うれしい気持ちと悔しい気持ちが混ざった銅メダルです。次は絶対に金メダルを取る、という気持ちになった銅メダルです」と言う。

 初戦のカザフスタン戦では5-5の内容で勝っているとき、外国選手特有の技にかかってポイントを奪われて敗れた。「そういう技があることに驚きました」と、日本ではかかったことのない技に面食らった部分があるようだ。

 国内では、初戦で敗れることはなかったし、悔しい負け方だったので、気持ちはなかなか切り替えられなかったそうだが、敗者復活戦に回ることが決まったあとは、「メダルを取るんだ」と言い聞かせ、闘争心を燃やしたと言う。「いろいろ学んだ銅メダルでした。来年は絶対に金メダル、今まで以上の努力で頑張りたい」と話した。

▲羽田空港での最後のミーティング

国内のトップ選手は「十分にアジアで闘える」…吉岡治監督

 3スタイルの監督として同行した吉岡治監督(京都・丹後緑風高教)は、軽量級でメダルを量産した男子グレコローマンは、昨年も同行したコーチがしっかり情報や戦力を分析してくれたことが要因と分析。以前のような“即席グレコローマン選手”ではなく、グレコローマンを本格的にやっている選手がメダルを取っていることで、今後もこの流れが加速していくことを予測。

 女子は、昨年は優勝なしに終わり、かなりの危機感があったという。実際に、今年もインドの猛威が吹き荒れ、中国も復活してきたが、その中で中学生(片岡優)が優勝してくれたことは、今後につながると評価した。

 男子フリースタイルは、やはりイランの強さが続いているという。その中で、JOCジュニアオリンピックカップは2位だったが全国高校選抜大会で勝っている赤木が勝ったのは、国内のトップ選手は「十分にアジアで闘えること」と言う。メダルを取れなかった選手も、「この経験を生かして伸びてほしい」と要望した。

 男子フリースタイルの平井満生コーチ(山梨・甲府城西高教)は「月並みな言い方ですが、誰もがメダルとは紙一重。一瞬のすきを突かれて失点していたケースが多かった」と振り返る。その壁を破るのは経験であるが、「今の選手は海外でも物おじしないですね。特に赤木。その姿勢が金メダルにつながったと思う」と話し、外国選手が相手でも積極的に攻撃できる選手たちの今後に期待した。

▲さらなる活躍が期待される男子フリースタイル・チーム

© 公益財団法人日本レスリング協会