<金口木舌>笑って学んで

 宜野湾市出身で吉本芸人の大屋あゆみさんが立ち上げた「アラマンダ」は、異色のお笑い劇団だ。吉本新喜劇のようなスタイルで舞台は進むが、演じる芸人全員が手話を駆使する

▼ろう者の両親に育てられた大屋さんは、手話を第1言語として育った。「耳が聞こえない人にもお笑いを楽しんでほしい」「健常者に手話を身近に感じてほしい」と劇団を結成した

▼以前は市役所の手話設置通訳をしていたが、吉本の養成所に通い、芸人になったのが11年前。18年に「アラマンダ」を旗揚げした

▼コロナ禍で活動休止していたが、今年に入り新作「食堂アラマンダ~跡取り息子とおふくろの味」を引っさげ活動を再開した。2月の那覇公演はチケットも完売し、反応は上々。7月には沖縄市での公演を控え「福祉でなく、言語として手話を全国に発信したい」と話す

▼県外では聴覚障がいのある人たちでお笑いを演じる事例はあるが、プロの芸人集団が手話を使って演じる団体は全国初という。沖縄発の新しい笑いを通した共生社会を見据え、きょうも稽古に励む。

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