禊のため須磨へ向かった光源氏は、都に戻り「権大納言」に昇進!平安貴族の官職と位階とは?【図解 源氏物語】

明石の君と結ばれる(明石)

暴風雨は続き、源氏の怪しい夢も続きました。源氏は紫の上が差し向けた使者から、都も荒れ狂う天候に襲われていると聞きます。やがて源氏の邸に落雷し、一部が焼けてしまいました。ますます弱気になって、渚で死んでしまおうかと考える源氏のもとに、桐壺院の霊が現れて、諭し励まし、須磨を去るようにと告げました。同じころ、明石の入道にも「舟を用意しして出すように」とのお告げがあります。源氏は、桐壺院の霊の教えもあったので明石の入道の迎えに応じ、親しい四、五人だけを連れて明石へ向かいます。思いのほか風流な入道の邸で、入道は源氏に琴を勧め、自分は琵琶を弾きながら娘の話をしました。しかし、源氏が文を送っても、明石の君は返事をしません。源氏は気位が高い女性だと思いますが、明石の君は「身分の違いから、いずれは疎まれるだろう」と警戒していたのです。

一方、都では雷雨の夜、朱雀帝の枕元に桐壺院の霊が立ち、帝をにらみながら多くのことを告げました。霊ににらまれたせいか、帝は眼病を患い、ひどく苦しみます。大后からは「軽々しく驚かないように」と言われながらも、帝は桐壺院の遺言に背いて源氏を冷遇している祟りと受け止めます。13日の月夜に二人は結ばれました。しかし、懸念した通り、源氏の心は紫の上にあり、明石の君は苦悩します。右大臣の娘、承香殿女御(しょうきょうでんのにょうご)の2歳の皇子を東宮にと考えた朱雀帝は、源氏に朝廷の後見人を頼もうと、源氏を赦免して都に戻すことにしました。身ごもった明石の君を、いずれ都に呼ぶことを決めたうえで、源氏は入道一家に別れを告げました。都に戻ると、人々は大喜びし、源氏は権大納言(ごんのだいなごん)に昇進しました。

権大納言・・・定員外の大納言。権は「仮」の意味。

平安貴族の官職と位階

701年に大宝律令が定められたあとの政治は、天皇から位を与えられた貴族を中心に行われた。「官職」とは貴族の職務や地位のことで、中央には二官八省が置かれた。「位階」とは位を表すもので、正一位から従八位下、大初位上~少初位下とあった。天皇が暮らす清涼殿に上がれるのは、三位以上と四位の参議である。「公卿(上達部 かんだちめ)と、四位五位で昇殿を許された「殿上人」だけだった。それ以下のものは昇殿を許されず「地下(じげ)」と呼ばれた。

出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 源氏物語』高木上別症

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 源氏物語』
高木 和子 監修

平安時代に紫式部によって著された長編小説、日本古典文学の最高傑作といわれる『源氏物語』は、千年の時を超え、今でも読み継がれる大ベストセラー。光源氏、紫の上、桐壺、末摘花、薫の君、匂宮————古文の授業で興味を持った人も、慣れない古文と全54巻という大長編に途中挫折した人も多いはず。本書は、登場人物、巻ごとのあらすじ、ストーリーと名場面を中心に解説。平安時代当時の風俗や暮らし、衣装やアイテム、ものの考え方も紹介。また、理解を助けるための名シーンの原文と現代語訳も解説。『源氏物語』の魅力をまるごと図解した、初心者でもその内容と全体がすっきり楽しくわかる便利でお得な一冊!2024年NHK大河ドラマも作者・紫式部を描くことに決まり、話題、人気必至の名作を先取りして楽しめる。

© 株式会社日本文芸社