LGBT理解増進法が成立 自公維国案、立共は反対

LGBT理解増進法が可決、成立した参院本会議=16日午前

 LGBTなど性的少数者への理解増進法案は16日の参院本会議で、自民、公明、日本維新の会、国民民主の4党の賛成多数で可決、成立した。立憲民主、共産、れいわ新選組、社民各党は反対。基本理念として、性的指向にかかわらず人権を尊重し、不当な差別はあってはならないと規定した。一方で「全ての国民が安心して生活できるよう留意する」と多数派に配慮する条項を設けた。国民理解が不十分だとの現状認識を踏まえたものだが、差別を助長しかねないとの懸念は根強い。

 日本は先進7カ国(G7)で唯一、性的指向や性自認に基づく差別を禁じる法令を定めていない。首相秘書官による差別発言を契機に、岸田文雄首相が法案の準備を自民に指示。与野党から計3案が国会提出された。与党は維新と国民の提案を受け入れ、今月9日に修正案の共同提出で合意した。

 法律の目的では、性的指向の多様性に関する国民理解を増進し、多様性を受け入れる寛容な社会の実現を掲げた。「性自認」の表現は、「性同一性」とも訳される英語の「ジェンダーアイデンティティ」に改めた。

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