公務員も人手不足 若手職員の離職増で初の秋採用へ、和歌山・田辺市

和歌山県田辺市の退職者数

 「終身雇用」の代名詞だった公務員の世界でも、若手職員の早期離職が増えている。和歌山県田辺市では昨年度、40歳以下の退職者が11人に上り、全退職者の約3割を占めた。市は本年度、市町村合併後初めてとなる「秋採用」を実施し、職員の確保を進めたいという。

 若者の「公務員離れ」は、全国的に広がっている。総務省の「地方公務員の退職状況等調査」を基に集計すると、一般行政職の40歳未満の普通退職者数は、2016年度の3884人から21年度の6852人へと、5年で約1.7倍になっている。

 田辺市によると、市職員の40歳以下の退職者は18、19年度が各1人で、全退職者に占める割合も3%台だった。しかし、21年度は6人、22年度は11人と年々増加。離職の理由は「別の仕事がしたい」「結婚を機に県外に引っ越す」などさまざまだという。

 採用試験を受験する人も減っている。一般事務職1種(大卒程度)の申込者数(追加募集は除く)は、18年度が143人だったが、22年度は69人にとどまった。

 こうした背景には、生産年齢人口の減少に加え、仕事に対する価値観の変化もあるとみられる。

 市では05年の市町村合併により、全体の職員数が一時的に増加。その後、適正規模になるよう新規採用を抑えてきた経緯があり、30~40代の中堅職員が他の世代と比べて少ない。こうしたこともあって、今秋採用の職員は、30~40歳の年齢に当たる人を対象に募集するという。

 市総務課の担当者は「社会人経験を生かして、即戦力になってくれることを期待している。『田辺市役所で働いてみたい』と多くの人に思ってもらえるよう、職場の魅力をアピールしていきたい」と話している。

■初の秋採用へ 3人程度募集

 田辺市は、23年10月に採用する一般事務職3人程度を募集する。申し込みの受け付けは6月14~27日。第1次試験は7月16日に市役所である。

 受験資格は、1983年4月2日~93年4月1日に生まれた人。

 採用試験の実施要綱は市のホームページからダウンロードできる。申し込みはインターネットで受け付ける。

 問い合わせは、市総務課人事係(0739.26.9916)へ。

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