マキロイより飛ぶアマチュア ゴードン・サージェントに聞いたスイングのコツ

ゴードン・サージェント。ドライバーの平均飛距離はキャリーで320ydとか…(撮影/服部謙二郎)

◇メジャー第3戦◇全米オープン 初日(15日)◇ロサンゼルスCC(カリフォルニア州)◇7423yd(パー70)

ゴードン・サージェント、その名を覚えておいて損はない。

今週の全米オープンには19人のアマチュアが出場しているが、その中でもひときわ注目を集めているのが20歳のサージェントだ。顔にはまだあどけなさが残り、体つきもひょろっとしていて、ブルックス・ケプカやダスティン・ジョンソンらの横に行くとまだまだゴボウと大根ぐらいの違いがある。だが、そのドライバーの飛距離は先輩たちの飛距離を遥かにしのぐ、規格外なのだ。

今年のマスターズに特別招待で出場した時もケプカとロリー・マキロイ(北アイルランド)と練習ラウンドをともにし、ドライバーは常に2人のパワーヒッターより前に飛んでいた。具体的にはマキロイ(今季の平均飛距離は327.9ydでツアー1位)より15yd近く先にいた。本人が言うには「キャリーの平均が320yd。振れば335ydは行く」とまさにバケモノクラス。一体全体、ア メリカはなぜこんな選手がどんどんと湧いてくるのか不思議で仕方ない。

なぜ飛ぶのか気になったので、本人に直撃してみたところ「14歳ぐらいまでずっと野球をやっていたんだ。(飛ばせるのは)明らかにその影響が大きいよ」と野球のスイングバランスがゴルフのスイングに役立っている模様。なんでも野球チームの遠征でアメリカ中を飛び回っていたというから、野球でもかなりの成績を出していたと思われる。やはり様々なスポーツをやることには相乗効果があるのだろう。

ゴルフ1本に絞った後も目覚ましい成績を収めている。ジュニア時代は地元アラバマ州のタイトルを獲得したほか、AJGA(米国ジュニアゴルフ協会)で2度のチャンピオンに。ヴァンダービルト大進学後は、2022年にNCAA(全米大学体育協会)の個人戦で優勝。大学の試合で4度の優勝を遂げ、現在世界アマランク1位。今回の全米オープンにはプロも出場する予選会を勝ち抜いての出場だから、実力も十分だ。

同じアマチュアのマイケル・トルビョンセンと練習ラウンド(撮影/服部謙二郎)

さてそんなサージェントに飛ばしのコツを聞いてみると、「とにかくバランスが大事。目いっぱい力の限り振ってバランスを崩すのは結果的に飛ばないからね」とシンプルな回答。ゴードン君、ソレ、分かるんだけどなかなか難しいんだよね…。「バランス良く振るためには体のコアを意識してほしいね。あとは下半身の力を使うこともとっても重要さ」と付け加えてくれた。確かに彼のスイングの連続写真を見ると、足の力を最大限使っているのがよく分かる。驚くのはクラブが上がり切る前に左足が切り返し始めていること。やろうとしてもなかなか真似できないが、これならトップで捻転差がより大きくなるのだろう。この下半身と上半身の時間差の作り方は、野球のピッチングの動きに近いような…。

初めての全米オープンは初日を終えて1アンダーの25位タイにつける。アマチュアの中ではトップスコアだ。ローアマも視野に入ってきたが、彼の目指すところは、もはやもっと上なのかもしれない。(カリフォルニア州ロサンゼルス/服部謙二郎)

アドレス(撮影/服部謙二郎)
バックスイング(撮影/服部謙二郎)
トップ(撮影/服部謙二郎)
切り返し(撮影/服部謙二郎)
ハーフウェイダウン(撮影/服部謙二郎)
インパクト(撮影/服部謙二郎)
フィニッシュ(撮影/服部謙二郎)

© 株式会社ゴルフダイジェスト・オンライン