誰もが一緒に遊び学べる公園を 倉敷芸科大・柳田教授が普及に力

団体のHPを見ながらインクルーシブ公園について説明する柳田教授

 倉敷芸術科学大(倉敷市連島町西之浦)デザイン芸術学科の柳田宏治教授(64)らが、障害の有無などにかかわらず一緒に遊び学べる「インクルーシブ(誰も排除されない)公園」の普及活動を続けている。任意団体「みーんなの公園プロジェクト」で長年、先進事例の発信や行政への助言を実施。公共空間としての公園を「誰もが歓迎され、楽しめる場に」と知恵を絞る。

 団体は、家電メーカーのデザイナーを務めた経験がある柳田教授を中心に、特別支援学校の教員らと2006年に発足。公共の設備や製品を誰もが使いやすくする「ユニバーサルデザイン」の普及などをきっかけに、子どもの成長に欠かせない場所である公園に着目した。

 各地の公園を調査し、優れたモデルや改善点をホームページ(HP)で発信するのが活動の柱。国内外30以上の事例を写真を添えて掲載しており、車いすのまま使える遊具や、ベビーカーでもすれ違える広々とした小屋などを紹介している。

 自治体などへの提言にも力を入れる。団体が構想に携わり、20年に東京都が都立砧(きぬた)公園に整備した「みんなのひろば」には、スロープ付き遊具やゴムチップ舗装をした地面、いす型のブランコなどを備え、楽しさに加え安全に遊べるよう工夫した。その後同じコンセプトの施設が全国に広がっているという。

 「今後3年ほどで光景がぐっと変わる。楽しみ」と話す柳田教授。「立地や役割で施設のニーズは異なる。同じものを作るのではなく、住民らさまざまな立場の人と一緒に考え、質の高い公園を増やしていきたい」と意欲を見せる。

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