「ライバル」で日米アマタイトル奪取 飯島早織は旧友・馬場咲希も刺激に頂点へ

飯島早織はプロテストを控える高校3年生。「日本一」のタイトルを手に入れた(撮影/桂川洋一)

◇女子アマチュア◇日本女子アマチュア選手権 最終日(16日)◇秋田CC(秋田)◇6409yd(パー72)◇雨

傘をさしたまま、ラストシーンを待ってくれていた旧友がいた。2位に3打差を付けて迎えた最終18番(パー5)、飯島早織(ルネサンス高3年)は第1打のトラブルからダブルボギーで終えても、ことしの女子アマ日本一のタイトルを掴み取った。「まだ実感がわかない。本当に目の前のボールに集中していました」。グリーンサイドで嬉々としていたのは馬場咲希(代々木高3年)。小学校高学年からの“ライバル”に祝福された。

自身のプレーを終えてから2時間近く待っていた馬場咲希に祝福された(撮影/桂川洋一)

飯島がクラブを握ったのは都内に住んでいた4歳のとき。年齢差があっても一緒に楽しめるスポーツとして、両親と兄と姉の家族5人でいっせいにゴルフを始めた。生涯の共通の趣味にするはずが、子どもたちはめきめき実力をつけて競技の世界へ。経済的な負担もあって、両親はクラブを置いてサポート役に回った。

ツアーのQT受験の経験もある兄・健之恭さんが、今は末っ子のコーチ代わり。2022年春の「全国高校選手権」、ことし5月「関東女子ゴルフ選手権」での優勝など、才能が開き始めたのがこの1年。今週はプロテストへ弾みをつけるべく臨んだ試合だった。

持ち味は正確なショット(撮影/桂川洋一)

同じ関東出身、ずっと仲良しの馬場への「良いライバル」という意識は隠さない。昨年「全米アマチュア」優勝時も「あまりビックリしなかった。勝ってもおかしくないと思っていたので。『やっぱ、やったわ』という感じでした」と素直にたたえられた。むしろハートは「自分も早くタイトルを獲って、そういうところに行きたい」と熱くなる一方だった。

最後はダブルボギーでも優勝(撮影/桂川洋一)

プレースタイルは正反対と言っていい。飯島の1Wショットの平均飛距離は約220~230ydほど。セカンドオナーになるケースは何も馬場相手の時だけではない。「飛ばないなりに自分の持ち味を生かして。誰よりも曲げずに、パットを全部入れに行く強い気持ちを持ってプレーしたら、いつか納得できる日が来る」。正確なショットと頭を使ったマネジメントを信条にしてきた。

バックナインに入り、431ydの打ち下ろしの12番はこの日、雨と向かい風でいっそう長く感じた。「バンカーがあまり得意でない」自分とも向き合い、2打目はグリーンの手前、ピンから60yd地点に刻んで最後は2mのパーパットを沈めた。

クラブハウスで記念写真。来週は一緒に世界一を狙う(撮影/桂川洋一)

5Wを握らされた13番(パー3)をボギーにした直後、第1打を右の林に入れた14番でチップインバーディ。「ボギーやダブルボギーになりそうなところ。あきらめないで良かった」。「72」でスタート時の通算3アンダーを守り切り、初日から首位に立ったままゴールテープを切った。

次週は国別対抗戦「トヨタジュニア」(愛知・中京GC石野C)に荒木優奈(日章学園高)を交えた“高3トリオ”で出場する。笑顔で「これから一緒に行くんですよ。光栄です」と長い優勝行事の終わりも待っていた馬場。日米の女子アマタイトルホルダーが海外トップアマを待ち構える。(秋田市/桂川洋一)

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