残ったご神木「治療」へ寄付呼びかけ 白鳥神社

昨年9月の台風14号の影響で片方が倒れた白鳥神社の夫婦杉。新宮敏郎宮司は残された「一本杉」の治療に向け寄付を呼びかける

 昨年9月に本県を襲った台風14号の影響で、えびの市・白鳥神社(新宮敏郎宮司)境内の樹齢約500年といわれる夫婦杉の片方が根こそぎ倒れ、「一本杉」となっている。残された1本も倒木する可能性が高く、切り倒すことも含め検討してきた同神社は先月末、今後も守っていくことを決めた。新宮宮司は樹木医の「治療」を受けさせるため、寄付を呼びかけている。
 夫婦杉は本殿の横にあり、ご神木として市民から長年親しまれ、県内外から参拝や見学に訪れる人も多かった。いずれも高さ約35メートルで、台風14号襲来直後に幹回り約8メートルのスギが傾き、約1カ月後には倒れているのが見つかった。
 隣り合う樹木が倒れた影響で、もう片方の幹回り約5メートルのスギも一部の根が断裂していることなどを確認。本殿側に倒れる可能性も出てきたという。このため同神社では対応を検討し、最終的に治療を施して残すことにした。新宮宮司は「地域で代々守ってきたご神木を『切る』という判断はできなかった」と話す。
 治療には数百万円が必要といい、クラウドファンディングも活用して費用を募る考え。倒れたスギは木材業者に引き渡す予定で、一部は同神社のお守りの素材にするという。
 「倒木したスギも、よくぞ踏ん張って立ち続けてくれた」と新宮宮司。「一本杉になったが、ご神木として守っていくことができれば」と願う。

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