<金口木舌>風の流れ

 韓国大統領選で北朝鮮に融和的な金大中氏を落選させるため、北朝鮮に接触する―。映画「工作 黒金星と呼ばれた男」(韓国、2018年)は、選挙を前に韓国の工作員が暗躍する様子を描く

▼防衛省は11日、北朝鮮の「衛星」発射による万一の事態に備え「破壊措置命令」を延長した。地対空誘導弾パトリオット(PAC3)などの展開継続が決まった

▼「衛星」が前回発射されたのは5月31日早朝。沖縄を対象地域にJアラートが発出された。30分ほどで「日本に飛来しないもよう」と速報されたが、出勤・通学時間に重なり、多くの県民が翻弄(ほんろう)された。物々しい警報の末、結局は発射失敗だった

▼同じ発射はその前にもあった。韓国も5月25日にロケットを打ち上げ、沖縄の上空を通過した。だが、アラートは鳴らず、私たちも知ることはなかった

▼映画「工作」は、韓国側が政権浮揚のために北朝鮮を利用したとされる「北風工作」に基づくという。私たちも演出された「危機」に踊らされていないか。永田町で吹く風の流れはいずこへ。

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