東急ストア、駅利用の単身・小世帯を照準に三鷹店オープン  店内の石窯で焼き上げたピザなどデリカに優位性 こだわり商品も特徴

東急ストアは14日、東急ストア三鷹店(東京都武蔵野市)をオープンして、現在増加傾向にあり今後も増加が見込まれる単身・小世帯を取り込む。

周辺環境について、14日取材に応じた高沢昌之店舗企画部店舗企画課長は「1kmの商圏に約5万6000人がいる。世帯数は3万世帯で、その主な内訳は単身世帯が55%、2人世帯が20%。合わせて75%となり、当社の出店エリアの中でも上位の単身・小世帯比率になっている」と説明する。

三鷹店は、JR三鷹駅北口の中央大通り沿いの旧店舗から移転した同じく駅前立地の新店舗となる。

JR三鷹駅の1日あたりの乗降客数は約15万人。これは東急沿線の二子玉川駅の乗降客数と匹敵する数だという。

三鷹店では、商圏のボリュームゾーンである30・40代で「TOKYU CARD」や「TOKYU POINT CARD」を持たない非会員に照準を合わせる。

「東急ストアは全体で利用者の70%前後を会員が占めるが、三鷹店(旧店舗)は非会員が全体の5割を占め、駅利用者が非常に多い店舗となる。(新店舗では)既存の50代以上の会員をおさえつつ、5割の非会員ないしは想定される駅利用者をターゲットにしていく」。

デリカ売場

賃借面機は旧店舗と比べ230㎡狭い770㎡。その中で売場面積は、バックヤードを削り旧店舗よりも少し広い598㎡を確保。デリカに優位性を与えた売場を展開している。

想定の売上構成比は、青果15.2%、水産10.2%、畜産8.7%、デリカ15.3%、グロサリー47.8%、生活用品2.6%、その他0.3%。

旧店舗と比べて、デリカの比率を5ポイントほど引き上げた一方、グロサリーや生活用品の品揃えを減らした。

「後方エリアを2割ほど減らす一方で、デリカの厨房をしっかり構え、石窯で焼き上げたピザも販売している」。

SKU数は旧店舗の9000SKUから1500SKUほど減らした約7500SKU。

「パッサテンポ」のマドレーヌ

近隣に価格訴求の競合店があることから、こだわり商品の品揃えを意識する。

「NB商品をだいぶ絞り込み、競合店では取り扱っていない商品を少し意識している」とし、「むつみ」の豆腐や「パッサテンポ」のマドレーヌなどこだわり商品を取り扱う。

青果は「とにかく売り切る仕入れをして後方で在庫しないやり方」を基本とし、東京都産や関東近郊の野菜、オーガニック野菜など展開している。

畜産は厨房を構えず自社プロセスセンターから100%供給を受ける。水産は厨房を構えて、鮮度にこだわった産地食送品や朝獲り鮮魚を取り扱う。

水産では、不定期でANAカーゴとの共同企画「空飛ぶ限界鮮度食材」も実施。これは「朝獲れたものを新鮮なうちに空輸で午後お届けする取り組みで、計画立ててやっていく」企画となる。

石窯で焼き上げたピザも販売

旧店舗と比べて、設備を刷新したことでエネルギーコストの削減を見込む。さらなる節電へ今後はドリンクケースにスイングドアの設置を検討していく。

現在は「駅前立地の店舗か、帰宅時間の夕方に客数が増える傾向にあり、ドリンクを選ばれる方も増え、利便性の観点で設置していない」という。

駅前立地の三鷹店にとって、外出機会の増加が予想される夏場は試練となる

「帰省される方が多くなることが予想される。その場合、駅前の店舗はロードサイド店とは異なり、お客様が通常よりも減っていくと捉えている」と述べる。

三鷹店では、旧店舗とほぼ同額の年商8億9550万円を目標にかかげる。

東急ストアの高沢昌之店舗企画部店舗企画課長

© 株式会社食品新聞社