茨城県2施設、民間譲渡へ 白浜少年自然の家と里美野外活動センター

県が民間譲渡を検討している(左)白浜少年自然の家=行方市白浜(右)里美野外活動センター=常陸太田市里川町

茨城県教委は16日、4カ所ある県立青少年教育施設のうち、白浜少年自然の家(行方市)と里美野外活動センター(常陸太田市)の2施設について、民間への売却を進める方針を明らかにした。小中学校の宿泊学習や野外活動の拠点として活用されてきたが、少子化などで利用者が大きく減少、施設の維持管理に多額の費用も見込まれるとして判断した。早ければ来年4月にも譲渡する考え。

現在4カ所ある県立青少年教育施設を2施設とする再編案について、同日の県議会文教警察委員会で報告した。再編時期は来年3月末を予定する。

さしま少年自然の家(境町)と中央青年の家(土浦市)については、利用者数や立地条件などを考慮し、継続する。

4施設を合わせた年間利用者数は、少子化の進行や類似施設の増加により、ピーク時から5割近く減少している。コロナ禍で宿泊学習など学校行事が中止となったことも響いた。

売却する方針の2施設はいずれも1970年代に開館し、野外キャンプ場などを備えている。ピーク時の85年度から2022年度の利用者数の推移を見ると、白浜少年自然の家は約4万1000人から9700人に、里美野外活動センターは約7600人から約2200人に、それぞれ大きく減少した。

2施設の売却を巡っては、価格や提案内容、事業計画を一体的に評価する「公募型プロポーザル」を採用する。早ければ来年4月の譲渡を念頭に、提案条件などを整理。現時点で複数の企業が関心を示しているという。

県教委生涯学習課の担当者は「地域のにぎわいに寄与できるよう地元自治体や関係機関と協議しながら、民間への売却を検討していきたい」と話す。

残る2施設については、次期指定管理者を7月から公募する。森作宜民教育長は「体験活動はコミュニケーション能力などを育む上で大切。今後も、さまざまな意見を取り入れながら議論を進めたい」と述べた。

県教委は同日、来年度の各校の宿泊学習などの予定を考慮し、施設の再編案を市町村教委に通知した。

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