那覇行きフェリーが一時漂流 エンジンが30分停止 ミスにつながった誤表記とは 粟国発の便

 【粟国】粟国島と那覇を結ぶニューフェリーあぐにが8日、粟国発泊港着の便で、エンジンが30分間停止し漂流していたことが16日、分かった。粟国村船舶課によると、火災などの緊急時にエンジンへの燃料供給を遮断する「緊急遮断弁」を船長が誤った表記に従って操作したのが原因。村は運航中の緊急遮断弁の操作について「判断ミスだった」としている。

 「緊急遮断弁」は開いた状態が正しいが、船内の説明板の表記で「通常は閉めた状態」と記されていることに船員が気付き、出港から約1時間15分後に船長判断で表記に合わせて緊急遮断弁を閉めたという。その結果、異常警報が出たためエンジンを止めた。メーカーに確認すると緊急遮断弁の表記が誤っていたことが判明した。再操作し30分後、運航を再開した。

 当時、乗客74人が乗っており、船内アナウンスで「エンジントラブルのため確認中」と伝えた。再出航後、原因についての説明はなく、35分遅れの午後4時35分に泊港に到着した。

 ニューフェリーあぐには2020年7月に就航。これまで緊急遮断弁の表記に誤りがあったことに気付かず、村船舶課は、「見落としがあった」としている。

 エンジン停止について、村船舶課は「安定性がなくなり危険性が増す」としながらも、村が定める安全管理規定の事故処理基準に該当しないことから、沖縄総合事務局に報告していなかった。同局からは16日、基準に当てはまらない事案が発生した場合も報告するよう指摘があったという。

 着任して5年になる船長の処分について、村は厳重注意にとどめるとしている。

 (上江洲仁美、岩崎みどり)

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