まるで合成のような写真…実は、3時間かけて撮影したもの!? 細かい仕掛けに驚くユーザーも

綺麗に整列されたゆで卵たち。一見すると、合成されたものかと思ってしまうこちらの作品は、本物のゆで卵を使用し撮影したものなのです。
Twitterで話題になったこの作品を撮影したのは森田直樹(@Naoki_M_Photo)さん。3時間かけてゆで卵を並べたというこの作品。投稿には2.1万件のいいねが集まっています。(2023年6月14日時点)

この作品について、美術専門の撮影スタジオStudio Jugaad(スタジオジュガール)を運営する森田さんに話を聞きました。

ーこの撮影には何個の卵が使われていますか?

2パック買って全部使ったと思っていたのですが、今数えてみると20個ですね。多分2個はお腹がすいて食べたんだと思います(笑)

ーこのゆで卵たちはどのように固定しているのですか?

KOKUYOさんが販売しているひっつき虫という商品で、カメラから見えない位置で固定しています。

森田さんの投稿によると、この卵たちは真っ直ぐ立っていないのだそう。横から見えると斜めになっているようで、カメラから見て卵の形を見えるようにするためや、卵の影を揃えるために斜めに置いているようです。ユーザーが見えないところでもプロのこだわりが想像できます。

ーこの写真は何に使われるのでしょうか?

この写真はライティングと撮影技術の研究のための習作なので、特に目的は考えていませんでした。改めて見るとそこそこ頑張っているので、今後なにかに使うかもしれません。

ーこの作品を作るにあたり、こだわった部分を教えてください。

まずパッと見た時の印象がポップなイラスト風に見えるということ。そこからよく見ていくと実際に撮られた写真であることに気づく。という2段構えで楽しんでもらえるように意識して制作しました。投稿の文章も実は写真をよく見てもらうためにわざとああいった言い回しをしてみたところ、反応してもらえたというかんじです。

写真だと気づいてもらった後に、卵の個体差だとか実はちょっと傾いているものがあるとか、そういった細かい部分が見えてくる仕掛けをたくさん入れてあります。「卵って意外とみんな違う形をしているんだ!」って日々の生活で思うこと無いじゃないですか。そういった見えているはずなのに気づいていないことって身の回りにたくさんあると思うんです。そういった物たちの面白さに目を向けてもらえるきっかけになれば嬉しいですね。

森田さんの作品をよく見ると、確かに若干傾いている卵があったり大きさが違う卵があったりと、パッと見ただけではわからない気づきがあります。本物のゆで卵を使用していると知り「本当に本物なの?」とじっくり画像を観察した方もいるのではないでしょうか。

投稿にも「見えない部分の難しさを想像する面白さが伝わり、とても気に入りました!」「ゆでたまごの影も、同じ様になってるの好き」とコメントが寄せられていました。

ーこの作品を作るのにあたり、苦労したことを教えてください。

まず、平面的な画面とのギャップを作るために『合成なしの一発撮り』というのが絶対条件でした。そのため単純に作業が大変でしたね(笑)画面を見て、位置を微調整して、ライトを見て、微調整して…と延々とやっていくわけです。腰が痛くなります。

ーこの投稿には多くのコメントが寄せられていましたが、反響についてどう思われましたか?

普段から美術作家さんと交流があり、制作の裏側や細かいこだわりに触れているのですが、多くの人はその魅力に気づかないという実感がありました。そういう面白さがあるということ自体を知らないというか。今回こうして多くの方に反応頂いて、頑張って工夫をすれば一歩踏み込んだところの面白さが伝わるんだという実感を持てたことが一番嬉しいですね。今後も私の写真だけではなく、色々な作家さんたちの面白さを伝えていけたら良いなと思っています。

普段何気なく目に入る写真や広告。SNSではそういった素敵な作品に出合う機会が多いでしょう。その作品1つひとつには、制作者さんの細かいこだわりやいたずら心が隠れているのかもしれません。そういった目線で作品に触れるのも面白いですよね。

Studio Jugaad

ほ・とせなNEWS編集部

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