出身地の話題で上司に〝地方差別〟されて立腹!でも怒っちゃダメ 郷土愛を全開に 識者オススメ対処法

職場の会話で、自身の出身地について、上司の言葉によって立腹させられる事態になった時、どのように対応すればいいのだろうか。「大人研究」のパイオニアとして知られるコラムニストの石原壮一郎氏が実例を挙げながら解説した。

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【今回のピンチ】

異動した部署の上司と、出身地の話題になった。「〇〇県です」と言ったら、鼻で笑いながら「印象薄いなあ。何があるの?」と言われた。カチンと来たが、どう返すか?

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日常の会社生活における何気ないひとコマです。しかし、油断は禁物。じつは大きな悲劇を招きかねない大ピンチでもあります。

待ち受けている悲劇は、二種類あります。ひとつは、その上司を大嫌いになってしまうこと。もうひとつは、凶暴な反応をして上司に「ダメだこいつ」と見限られること。いずれも、会社生活がつらくなります。

その上司は、新しい部下とコミュニケーションを取ろうとして、出身地の話題を振ってきたのかもしれません。失礼にも聞こえるリアクションですが、バカにされたと受け取るのは早計。そもそも「鼻で笑われた」と怒っている人の話を聞くと、8割方「それって被害妄想では?」と感じてしまいます。

カチンときたままの勢いで、ぶっきら棒に「どうせ何にもありませんよ」と返したら、そこで話が終わるだけでなく、お互いに気まずさが残ってしまうでしょう。「印象が薄くてすみません」も同様です。

ここは郷土愛を全開にして、あくまで笑顔で「いやいや、いいところも美味しいものもたくさんありますよ!」と言いつつ、名所や名物などを次々と紹介しましょう。こんな有名観光地があるとか、こんなうどんがあるとか、こういう偉人を生んだとか……。

さらに「でも、ウチの県はPRがヘタなんですよね」と嘆いて、そのへんを知らなかった上司をフォローしておくことも大切。返す刀で「××さんは、どちらのご出身なんですか?」と上司に聞き返せば、出身地談議に花が咲いて距離も縮まるでしょう。

相手の言葉を悪い意味に取って、心の中でいちいちケンカ腰になっても仕方ありません。まずは「悪気はない」という前提で、あくまで普通に対応しましょう。それが平和で建設的な大人のコミュニケーション力です。

仮に悪意があったとしても、同じ対応で問題ありません。こっちが受け取らなければ、その悪意は宙に浮いて雲散霧消します。

(コラムニスト・石原 壮一郎)

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