物流「2024年問題」打開策は新幹線? JR東、青森県から首都圏へ大量輸送実験

無人搬送車で運ばれてきた荷物を新幹線の車両に積み込むジェイアール東日本物流の従業員ら
東北新幹線「はやぶさ」の車両に積み込まれた荷物

 JR東日本と同社の子会社「ジェイアール東日本物流」は16日、新幹線の車両を使った輸送サービス「はこビュン」を活用し、県産品を首都圏に運ぶ実証実験を青森市の盛岡新幹線車両センター青森派出所で行った。駅で少量を積み込む形の同サービスは既に実用化しているが、車両基地を使用して約600箱を運ぶ大規模輸送の実験はJR東管内では初めて。トラック運転手の残業規制強化で荷物が運びきれなくなる恐れのある「2024年問題」を見据え、代替の輸送手段としての可能性を探る狙いもある。

 JR東は21年10月、はこビュンのサービスを開始。車内販売用のワゴンの保管スペースに少量の荷物を積み込んで首都圏などに運んでいる。車両1両を貨物専用にして、一度に100~200箱運ぶ実験も実施済みだが、3両分に当たる600箱を輸送するのは開始以来最大規模となる。

 この日運んだのは、県漁連や全農県本部などの荷主から出荷されたホタテガイ、ヒラメ、メバル、生花、アップルパイといった県産品。車両基地で新青森午前9時37分発大宮午後0時半着の臨時列車「はやぶさ72号」に積み込むと、座席の間に固定した。盛岡駅でも荷物を積み、大宮駅経由で首都圏の小売店などに配送した。

 車両基地内では荷受場から列車の脇まで自動で荷物を運ぶ無人搬送車も活用し、作業の効率性を検証。駅ホームよりも荷物の積み込みスペースや作業時間を確保しやすいという車両基地のメリットを確かめた。

 実験の背景には物流の2024年問題があり、トラックから鉄路への切り替えが対策の一つとなる可能性がある。JR東は本年度、他県の車両基地でも同様の実験を重ね、はこビュンを活用した大規模輸送の実用化を目指す方針。

 ただ、はこビュンは貨物列車と比較すると荷物の積載量が少ないため、JR東マーケティング本部の堤口貴子マネジャーは「10トントラック10~20台分の荷物は運べない。鉄道を使った方がいい商品の輸送の一助を担いたい」と語っている。

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