帰京後の出会いと別れ~巻名:澪標・蓬生・関屋~【図解 源氏物語】

源氏の子が即位(澪標)

源氏が都に戻った翌年2月に、朱雀帝は譲位し、冷泉帝(源氏と藤壺の子)が即位。源氏は内大臣となります。3月、明石の君が女児(明石の姫君)を出産し、紫の上は心をざわつかせます。秋、源氏は帰京できたお礼参りとして住吉神社に詣でます。偶然、明石の君一行も来ましたが、源氏一行の華やかさに気押された明石の君は、手紙で和歌を交わしただけで去ります。六条御息所は娘である前斎宮(さきのさいぐう)ととも帰京したのち、病気を患って出家しました。娘を託された源氏は、前斎宮を養女にし、冷泉帝に入内させようと考えます。

末摘花を再び庇護(蓬生)

源氏が帰京した翌年の4月、源氏は末摘花の邸の前を通り、荒れ果てた様に呆然とします。末摘花と再会し、自分を待ち続けていた真心に心打たれ、再び生活を援助します。2年後、末摘花は二条院の東院に移ることになりました。

空蝉との偶然の再会(関屋)

夫の常陸介(前・伊予介)とともに東国に下っていた空蝉は、任期が切れた夫とともに帰京する途中、石山寺を詣でる源氏と偶然出会い、その後、二人は文を交わします。やがて夫が他界し、義理の息子から言い寄られた空蝉は密かに出家します。

内大臣・・・左大臣・右大臣に次ぐ官職。定員外。

『源氏物語』と住吉信仰

『源氏物語』でたびたび登場する住吉大社(神社)。海の守護神や和歌・農耕の神として、皇族や貴族に信仰された。明石の入道が熱心に信仰しており、その娘である明石の君も年に2回参詣していた。一族の繁栄を願っていたのである。光源氏は、須磨で暴風雨にあったときに大願を立て、住吉の神の導きにより須磨を去り、明石に居を移し、都へ戻ってからはお礼参りに再び訪れる。やがて、明石中宮(あかしのちゅうぐう)が産んだ第一皇子は東宮となるが、その際にも、光源氏たちは住吉大社を参詣する。

出典:『眠れなくなるほど面白い 図解 源氏物語』高木 和子

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 源氏物語』
高木 和子 監修

平安時代に紫式部によって著された長編小説、日本古典文学の最高傑作といわれる『源氏物語』は、千年の時を超え、今でも読み継がれる大ベストセラー。光源氏、紫の上、桐壺、末摘花、薫の君、匂宮————古文の授業で興味を持った人も、慣れない古文と全54巻という大長編に途中挫折した人も多いはず。本書は、登場人物、巻ごとのあらすじ、ストーリーと名場面を中心に解説。平安時代当時の風俗や暮らし、衣装やアイテム、ものの考え方も紹介。また、理解を助けるための名シーンの原文と現代語訳も解説。『源氏物語』の魅力をまるごと図解した、初心者でもその内容と全体がすっきり楽しくわかる便利でお得な一冊!2024年NHK大河ドラマも作者・紫式部を描くことに決まり、話題、人気必至の名作を先取りして楽しめる。

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