G82型BMW M4 GT4初戦でポール・トゥ・ウイン。ドライバーも高評価の安定感と電子制御

 静岡県の富士スピードウェイで開催されている2023年のファナテックGTワールド・チャレンジ・アジア・パワード・バイAWS第2ラウンド。6月17日に行われた決勝レース1のGT4クラスは、このレースから新型となるG82型BMW M4 GT4を投入した加納政樹/織戸学組のYZレーシング・ウィズ・BMWチーム・スタディが優勝を飾った。

 今や世界的にその台数が増加し、日本国内でもスーパー耐久シリーズのST-Zクラスに10台以上が参戦して注目を集めているGT4規格車両。そんな市場にドイツの名門スポーツカーメーカーであるBMWが2023年より投入したのが新型モデルとなるG82型BMW M4 GT4だ。

 先代F82型の成功を引き継いだこのマシンは、さらなる”メンテナンスのしやすさ”を重視に開発が行われ、その多くのコンポーネントをM4 GT3と共有。フロントキャンバーおよびリヤキャンバー、トー角はネジの締め具合で調整するターンバックル式ではなく、挟み込む板の厚みで調整するシム式がM4 GT3と同じく採用され、トラクションコントロールも10段階に調整幅が広くなっている。

 今季はGTWCアジアに参戦するY’z ONE(ワイズワン)は、スーパーGT GT300クラスでも活躍するBMW Team Studieをタッグを組みM4 GT4をアジア初投入、その初戦となった第3戦富士でポールスタートから独走を披露してG82型M4 GT4投入初戦で優勝を飾った。

2023GTWCアジア第3戦富士 YZレーシング・ウィズ・BMWチーム・スタディの50号車BMW M4 GT4(加納政樹/織戸学)

「ヨーロッパでも速い・強いという話は聞いていて、いざM4 GT4に乗ってみたら『なるほど。これはレースに強いクルマだな』ということが分かりました」とM4 GT4を評したのは、今季からチームに加わったベテランの織戸だ。

「まずクルマが安定しています。もともとの車格が大きくてホイールベースも長い、さらにエンジンパワーもあるので、非常に乗りやすいですね」

 なお、YZレーシング・ウィズ・BMWチーム・スタディに車両が到着したのは今回のレース直前ということもあり、マシンのシェイクダウンは「ほぼこの富士が初めて」という状態。そこから走行開始となる木曜日のフリープラクティスを使用して調整を行い、その後は「予選ではいいパフォーマンスが出すことができましたし、決勝ではタイヤの使い方が難しかったですが、いい結果で終えることができました」と織戸はレース1を振り返った。

 一方でパートナーの加納も、マシン到着の遅さからくる調整不足を心配したものの「走り出しから安定していましたし、本当にものすごくいいマシンだなということは感じていました」とM4 GT4を評価した。

「M4 GT4はすごくデバイスが良いと感じますね。トラクションコントロールの性能もすごく高いと思いますし、タイヤがもっと厳しい状況になっても、そういったデバイスがプラスになる部分があると思うので、うまく使用して明日のレース2も戦いたいと思います」

 18日の決勝レース2でもGT4クラスのポールポジションからレースをスタートするYZレーシング・ウィズ・BMWチーム・スタディのG82型BMW M4 GT4。明日はスタートを織戸、第2スティントを加納が担当する予定で、加納はレース後半時のタイヤの持ちを心配していたが、自慢の電子制御で乗り越えてくるだろう。

2023GTWCアジア第3戦富士 シャンパンファイトを行う加納政樹と織戸学(YZレーシング・ウィズ・BMWチーム・スタディ)
YZレーシング・ウィズ・BMWチーム・スタディの50号車BMW M4 GT4のコックピット
2023GTWCアジア第3戦富士 BMW M4 GT4をチェックする織戸学
2023GTWCアジア第3戦富士 50号車BMW M4 GT4と5号車BMW M4 GT3

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