バーミヤン遺跡、石窟の壁画破壊 色彩残し貴重、保護強化が必要

何者かによる破壊行為があったアフガニスタン中部・バーミヤン遺跡の石窟の壁画=5月(共同)

 【イスラマバード共同】アフガニスタン中部の世界遺産バーミヤン遺跡にある石窟の壁画が5月、何者かによる破壊行為ではがれ落ちていたことが17日、分かった。イスラム主義組織タリバン暫定政権の情報・文化省当局者らが共同通信に明らかにした。現場の状況から販売目的の盗掘でなく、いたずらとみられる。

 石窟は、タリバンが2001年に破壊した大仏立像2体のうち東大仏が収められていた「仏龕」の脇にあり、半球状の天井部分に壁画が描かれている。6世紀半ばから7世紀ごろの仏教画で当時の色彩が残る貴重な資料。同遺跡にあったほとんどの壁画は戦乱中に盗掘などで失われており、専門家は保護強化が必要だと訴えている。

 石窟には扉が設置され、当局者が鍵を管理している。5月中旬、扉が壊され、壁画が傷つけられているのが見つかった。

 石窟内に壁画の一部やこぶし程の石が複数落ち、外壁にはスプレーによる人の名前の落書きもあった。何者かがいたずら目的で夜間に侵入し、壁画に石を投げ付けたとみられる。

石窟で見つかったスプレーによる落書き=5月、アフガニスタン中部・バーミヤン遺跡(共同)
アフガニスタンのバーミヤン遺跡。中央のくぼみは東大仏が収められていた仏龕(ぶつがん)=2015年(共同)
アフガニスタン・バーミヤン遺跡、カブール

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