昭和の写真史に浸る 富山県美術館で「前衛」写真の精神

作品解説会で昭和の写真史に理解を深める来館者=富山市の富山県美術館

  ●作品解説に耳傾け

 富山県美術館で開催されている富山新聞創刊100年を記念した「『前衛』写真の精神:なんでもないものの変容」(富山県美術館、富山新聞社、北國新聞社など主催)の作品解説会は17日、富山市の同館で開かれた。1930年代の「前衛写真」から、誇張なしに撮影した80年代の「コンポラ写真」まで、昭和の写真史に理解を深めた。

 八木宏昌学芸課上席専門員が作品解説を行った。企画展でスポットを当てている写真家の一人、大辻清司について「前衛的な作品に挑んだ一方、商業写真の分野でも活躍していた」と紹介した。

 前衛作品に取り組んだ背景には、企画展で紹介している富山市出身の詩人・美術評論家瀧口修造と、作家の阿部展也の影響があったと説き、作品群からは人とのつながりや、作風の変遷が読み取れるとした。解説会は7月15日にも開かれる。

 企画展では大辻のほか、写真家の牛腸(ごちょう)茂雄らの写真を展示している。昭和時代の日常を切り取った作品が並び、17日も家族連れや写真ファンらが楽しんだ。

 企画展の前期は27日まで、後期は29日から7月17日まで。観覧料は一般900円、大学生450円、高校生以下無料。7月1日に講演「大辻清司の実験室」、同9日に写真家高島史於さんのトークショーが行われる。

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