身寄りない高齢者が増加 政府、身元保証の実態把握へ ケアマネジャーらが代わるケースや有料の会社利用も

国会

 身寄りのない高齢者が増える中、病院への入院や施設への入所の際に身元保証人が用意できないケースが増えている。現場ではケアマネジャーや職員らが家族に代わって身元保証を担うケースが急増しているが、有料の身元保証会社を利用する場合もあり、政府は実態把握に乗り出す考えだ。

 総務省関東管区行政評価局が昨年3月に公表した調査結果では、身寄りのない高齢者の緊急連絡先としてケアマネジャーや生活保護担当者に連絡したケースのほか、医療行為を行う際に患者の同意確認が困難として、自治体職員やケアマネジャーらを病院に招き本人意思を推定するための情報提供を受けた事例もあった。

 厚生労働省は身元保証人がいないことを理由に入院や入所を拒否しないよう通知を出しているが、ケアマネジャーの女性は「身元保証に関する相談が増えている。職務外で権限もないが、他に担う人がいないため無償でやるしかない」と実情を明かす。

 調査結果では、認知症や知的障害がある人の生活を支える成年後見制度や身元保証会社の利用を求めるケースもあるとしているが、成年後見制度は手続きが煩雑で費用負担があるため、利用が伸び悩んでいる。

 一方、身元保証会社は業界団体や監督官庁が存在せず「業者を選ぶための情報が不足している」ため、トラブルを恐れて利用を勧めにくい事情もあるという。

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