無免許、運転経験なし…26歳運転の車コンビニに突っ込む 82歳男性死亡 近隣で当て逃げ事故も 関連調べる

事故現場の「ファミリーマート川口並木2丁目店」に突っ込んだ車によって損壊した室外機など=17日午前11時15分ごろ、埼玉県川口市並木2丁目

 17日午前7時45分ごろ、埼玉県川口市並木2丁目のコンビニエンスストア「ファミリーマート川口並木2丁目店」で、付近を歩いていた男性が「車が建物に突っ込んでいて、けが人がいる」と110番した。付近を歩いていた男性の職場の同僚で、川口市辻の会社員男性(82)が事故に巻き込まれ、全身を強く打ち搬送先の病院で死亡が確認された。

 川口署は自動車運転処罰法違反(過失傷害)の疑いで、車を運転していた蕨市塚越5丁目、無職の男(26)を現行犯逮捕。男には障害があり、車を運転したことは認めているものの、具体的な会話はできていないという。同署は逃走などの恐れがないことから同日午後に男を釈放。容疑を同過失致死に切り替え任意で捜査を続ける。

 現場はJR京浜東北線西川口駅東口から約150メートル。同署によると、現場のコンビニ前は信号機のない十字路交差点で、男は約1キロ離れた自宅から南方面に車を走らせ、道中で物損事故を起こした後、コンビニに突っ込んだとみられる。コンビニは事故の衝撃で外壁や室外機などが破損した。

 男は運転免許を持っておらず、車は家族名義だった。家族は男について「今まで車を運転したこともなく、なぜ運転したのか分からない」と話しているという。

 現場近くの蕨市塚越地内のマンションの駐車場では、事故直前に複数の駐車車両が車に当て逃げされる事故が発生しており、県警は関連を調べている。

■目撃者「爆発音のよう」

 「ブレーキ音とは違う、ハンドルを無理やり切ったようなキーンという音をたてていた」。現場付近にいた50代男性はコンビニに突っ込んだ車が蕨市方向から走ってくるのを見かけた。爆発音のような衝撃音を聞いて現場に駆け付けると、車がコンビニに突っ込んでいたという。約5分後には警察や消防が到着し現場をブルーシートで覆った。

 付近に住む50代女性は衝撃音で目覚めたと言い「まさか最寄りのコンビニでこのようなことがあるとは思わなかった」と驚きを隠さない。

 事故直前に複数の車が当て逃げされた蕨市塚越のマンション住人の女性は、駐車場での事故を目撃していた。女性は同日午前8時前に「ドン」という衝撃音を聞いて駐車場に向かうと、黒色の車が前進と後退を繰り返しながら駐車車両に次々とぶつかっていたという。

 止まるように呼びかけたが運転手は応じず、「最後は路上に飛び出して西川口駅の方向に走っていった」と振り返り、「車が突っ込んだ西川口駅近くのコンビニは直線でつながっている。同じ車両ではないか」と話した。

男が運転していた車両=17日午後2時50分ごろ、埼玉県警川口署

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