けがも成長の糧に

 スポーツを通じてのけがは、大きく「障害」と「外傷」に分けられる。障害は体に繰り返し負荷がかかることで発症するもので、野球肘などが挙げられる。外傷は一度の強い衝撃を受けての骨折などを指す▲その予防策として、障害は痛みが出たら休むなど多少なりともある。だが、外傷はそうはいかない。接触が多い競技ほど、それは避けられない▲先日、U20ラグビー日本代表の川久保瑛斗選手(長崎北陽台高-東海大2年)が長期離脱を強いられる外傷を負った。今月末、南アフリカで開幕する20歳以下の「W杯」に向けた調整試合で、左膝があらぬ方向に曲がった。脱臼と靱帯(じんたい)断裂だった▲「やっと世界で戦える」と喜んでいた川久保選手。さぞや気落ちしているだろうなと思いながらも「前向きにね」とメールしてみると、すぐにこう返ってきた。「そのつもりです、任せてください!」。空元気かもしれないが、逆にこちらが勇気づけられた気がした▲右膝靱帯断裂を経て、東京五輪王者となった柔道の永瀬貴規選手(旭化成、長崎日大高出身)の言葉がある。「いい経験も悪い経験も糧にしないといけない。振り返った時、あの経験があったからと言いたい。だからこそ成長できる」▲身長160センチの小さなファイター、川久保選手の復活を祈っている。(城)

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