食物アレルギーの子に対するお店側の対応にいいね3.8万件!? 店員さんの言葉に思わず涙…

食物アレルギーを持ったお子さんに対するお店側の対応を書いた投稿がTwitter上で3.8万いいねを集めています。(2023年6月15日時点)
食物アレルギーを持っていると、外食する際など気を使う面が増えてきますよね。そんな気持ちを汲み取ってくれたようなお店側の対応に「こんな対応されたら凄く嬉しいですね」「これは涙が出ちゃう対応ですね」とコメントが寄せられていました。

今回はこの投稿をしたあずさ兎(@azusausagi)さんに話を聞きました。

あずさ兎さんが家族旅行でホテルのブッフェを利用した際の出来事でした。食物アレルギーを持っている5歳の次男くんのため、事前にアレルギー対応プレートをオーダーしていたあずさ兎さん。しかし、デザートのケーキを食べている長男くんを見て次男くんは羨ましがります。あずさ兎さんが「フルーツなら食べれるかも…」と席を立とうとした瞬間「今日は楽にしてください」と、店員さんが持ってきた次男くん用のデザートに感激を受けたのです。

ー次男くんはどのようなアレルギーを持っているのでしょうか?

乳製品、卵、小麦にアレルギーがあります。小麦は少量なら食べられるようになりましたが、乳・卵は少量でも命に関わるため、常に緊急用の注射薬を持ち歩いています。

ープレートが来た時、次男くんの様子はどうでしたか?

「これ食べれる?」とわたしに聞くので「全部食べれるよ!」と伝えると驚いていました。普段「全部食べられるよ」と言ってあげられることはほぼないので…

ホテルから提供された次男くんのアレルギー対応のプレート(@azusausagiさんより提供)

ー投稿を見るとデザートについて事前に伝えてなかったようですがホテルの対応にどう思われましたか?

ブッフェでは、料理自体にアレルゲンが使用されていなくても、取り分けに使うトングやスプーンからの混入が避けられません。旅先では特に受診が難しいため、特別にアレルギー対応プレートをオーダーしていました。「食べるものがない」状態を回避できれば御の字なので、デザートのことは考えてもいませんでした。ホテルの方はデザートまで含めて食事と考えてくれていたのかもしれませんが、かけていただいた言葉とタイミングが完璧すぎて、涙が出るほど感激しました。
さらに、投稿にも優しいコメントばかりで、ますます心が温かくなりました。

ー外食する際苦労することはどんなときでしょうか?

実は、外食のアレルギーについて国の具体的な基準やガイドラインがないんです。ガイドラインがない以上、認識の違いが起こる可能性が高く事故も起こりやすい。利用を断られることもありますし、事前に問い合わせて利用を諦めることも多いです。外出先で入れるお店が見つからず、コンビニやスーパーに駆け込むことも。安全性は妥協できないので、気を使います。

現状、外食・中食においては食物アレルギーに関する情報提供が義務づけられておらず、自主的にアレルギー表示をする飲食店はあるものの店員さんが食物アレルギーについて十分に理解しているとは限りません。(参考:消費者庁『消費者向けパンフレット「外食・中食を利用するときに気をつけること』)

そこで、食物アレルギーの子を持つあずさ兎さんに、課題だと感じることを聞きました。

ー食物アレルギーについて、今後の課題だと感じていることを教えてください。

子どものアレルギーが発覚して驚いたのが、外食での注意事項や利用方法について医療サイドからの指導がなかったことでした。アレルギーを持つ人、またはその保護者が個人的に、または親の会などに参加して情報を得ようとしないと正しく身を守る情報に辿り着けないのです。
特に、アレルギーに関しては「好き嫌い」や「わがまま」「食べれば治る」など誤情報がまかり通っており、当事者ではない飲食店の方々が“正確なアレルギーに関する情報”を理解するのは困難です。
飲食店では「分からない」ということがクレームにつながりかねない風潮もあり、良かれと思って誤情報を提供してしまい、事故が起きたというケースもあります。

また、お店の人が「混入に気づかなかった」「レシピが変わったのに表示を変更していなかった」など「アレルギー表示があるから大丈夫」とは言えないので、表示だけでなく、お店の人とコミュニケーションをとって、患者自身または保護者が判断する必要があります。
「だったらアレルギー表示自体をやめた方がいいのでは?」と言うとそんなことはなくて。「少量なら食べられる」レベルの人の選択肢を広げるという意味で役に立っているので、複雑な問題ですね。

食物アレルギーについての正しい情報は、当事者であっても常にアンテナを張らないと難しいようです。だからこそ、本人もその親たちも外食の際とても気を使うことが多いでしょう。
今回のお店側の配慮のおかげで次男くんはプレートの中身が全部食べられることを知り、とても嬉しかったと思います。
食物アレルギーについての正しい情報が浸透していくことを願います。

ほ・とせなNEWS編集部

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