ウクライナ留学生 茨城県食材で母国の味 水戸 料理楽しむ

県産食材を使ってウクライナ料理を作る留学生ら=水戸市梅香

ロシアによる侵攻が続くウクライナからの留学生たちが茨城県の食材を使って母国の料理を作る催し「料理ミーティング ウクライナ編」が17日、水戸市内にあるJAの料理スタジオで開かれた。JA県中央会と県国際交流協会の共同事業。不安を抱える中で留学する学生たちは、懐かしい母国の味でほっとするひとときを過ごした。

湯気を立てるボルシチやニンニクたっぷりのガーリックパン、リンゴなどを甘く煮た飲み物が食卓に所狭しと並ぶ。ボルシチには赤い根菜のビーツやキャベツ、ニンジンと県産の野菜がたっぷり。頬張る留学生たちの顔には笑みが浮かび、会話に花が咲く。

催しには茨城キリスト大と常磐大で学ぶウクライナの学生ら5人が参加。北部のチェルニーヒウ州出身のリナさん(22)は「ボルシチはおばあちゃんとお母さんの味。おいしくて、家を思い出した」と話す。日本では材料があまり出回っておらず、値段も高いため作れずにいたという。催しの一環で、会場とウクライナにいるリナさんの父親とをビデオ通話アプリで結んだ。「毎日、家族が心配。早く戦争が終わってほしい」と願う。

JA県中央会と同協会は今月、食を通した国際交流に関する包括連携協定を締結。催しは、この協定の第1弾の事業だ。今後も、さまざまな国の留学生に茨城県の野菜を使った母国料理を楽しんでもらうという。同協会の根本博文理事長は「食にはそれぞれの国の文化が現れる。国を離れて学んでいる留学生たちにとって、息抜きの良い機会になるのでは」と期待する。

食事会では笑顔を見せていた留学生たちだが、母国では今なお、激しい戦闘が続く。キーウ出身のソーニャさん(21)の家の近くには、ミサイルが撃ち込まれたこともある。ソーニャさんは母国の母と弟の無事を心配しながらも、「今、私にできるのは勉強することだけ。戦争が終わっても復興には時間がかかる。その時に力になりたい」と語った。

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