使途不明金1079万円…さいたま市PTA協が定期総会 再発防止へ検討委を設置 問題など受け加盟校7校が退会

PTA協の使途不明金問題、検討委を設置=さいたま市

 埼玉県さいたま市PTA協議会の定期総会が17日、同市浦和区で開催された。同会は今年3月、1079万円の使途不明金を公表し、第三者委員会が調査を進めている。新たに会計担当の副会長を置き、組織課題検討委員会の設置を総会で決定した。新会長に就任した郡島典幸さん(48)は総会後に取材に応じ、「真相解明を進め、説明責任を果たしていきたい」と述べた。

 総会の冒頭、同会役員が「皆さんに多大なるご心配をかけ、本当に申し訳ありません」と陳謝。再発防止に向け第三者委を立ち上げたとして、「調査結果がまとまれば、しっかりと説明する」と述べた。

 来賓として出席した同市の清水勇人市長は、PTA活動に感謝を示した上で、「全ての子どもたちのため、しっかりと胸を張って、引き続き活動を続けていただけるように、よろしくお願いします」などとあいさつした。

 総会では2022年度決算、23年度の役員選出、23年度事業計画などを議案として提出し、いずれも承認された。市教育委員会から年間165万円の補助金を受けており、23年度も補助金を申請して予算に計上した。市教委の審査が行われる見通し。今回の問題などを受けて、加盟していた165校のうち、7校が退会して158校となった。

 郡島会長は「過去4年さかのぼり、決算が終わっているのに(全額が)返金された。まずは真相を知りたい」。総会では今回の問題で法的措置を取るのかとの質問が出たという。郡島会長は「不正が判明すれば、しかるべき対処をすると回答した」と話した。

■100万円領収書で発覚

 さいたま市PTA協議会のホームページと関係者によると、2022年12月、同年4月12日付の100万円の領収書が見つかったと内部で報告された。領収書にただし書きが書かれておらず、会計顧問の税理士から決算に計上できないと指摘が出て、問題が発覚した。

 領収書を発出したのは、登記簿上は同市中央区新中里の保険代理店で、領収書に記載された住所は同市岩槻区加倉とされ、住所の相違も内部で指摘されたという。

 内部調査の結果、市P協の保険口座から、保険代理店に「防災事業委託費」として、19年度143万円、20年度176万円、21年度275万円、22年度485万円の計1079万円が支出されていた。領収書の100万円は22年度分で、現金で引き出されていたという。

 今年2月10日、保険代理店側に照会。担当弁護士から、防災関連イベントなどの預かり金だったとの回答書が届き、同17日に全額が返金された。弁護士と税理士による第三者委員会が5月に設置され、調査を進めている。

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