静岡県の富士スピードウェイで開催されているファナテックGTワールド・チャレンジ・アジア・パワード・バイAWSの2023年第2ラウンドは6月18日に決勝レース2が行われ、星野敏/藤井誠暢組のDステーション・レーシング47号車アストンマーティン・バンテージAMR GT3が12番グリッドから逆転優勝を飾った。
日本での2023年初レースということで、ジャパンカップに参加するマシンを含め計40台がエントリーを行い盛り上がりをみせているGTWCアジアの第2ラウンド。前日の決勝レース1に続いて晴天に恵まれた18日、同じく60分のフォーマットで争われる決勝レース2が12時からスタートした。
ローリング方式のスタートでは海外レースらしく各マシンが密集体型でターン1のTGRコーナーに進入していく。そのなかでポールポールポジションのクラフト・バンブー・レーシング37号車メルセデスAMG GT3ののワークスドライバー、ダニエル・ジュンカデラはポジションをキープする。
2番手にはクライマックス・レーシングの2号車メルセデスAMG GT3を駆るデニス・リンド、3番手にはケイ・コッツォリーノがスタートドライバーを務めるカーガイ・レーシング1号車フェラーリ296 GT3をオーバーテイクしたAASモータースポーツ・バイ・アブソリュート・レーシングの911号車ポルシェ911 GT3 Rのアレッシオ・ピカリエッロが続く。
しかし中団勢では13番手スタートのチーム5ZIGENの500号車ニッサンGT-RニスモGT3がTGRコーナーで接触があったかスピン、そのまま動くことができずにマシンを止めてしまったため、1周目終了で早くもセーフティカー(SC)が導入された。
レースは3周目から再スタート、トップ3の順位は変わらないものの、ストレートスピードが厳しいカーガイ・レーシングの1号車フェラーリ296 GT3はR&Bレーシングの4号車ポルシェ911 GT3 Rを駆るデニス・オルセンの先行を許してしまう。
4周目には藤井誠暢が駆るDステーション・レーシングの47号車アストンマーティン・バンテージAMR GT3と、エドアルド・リベラティがドライブするKCMGの22号車ホンダNSX GT3の10番手争いが激化、各コーナーでテール・トゥ・ノーズのバトルを繰り広げた2台だが、藤井の防戦虚しく5周目のTGRコーナーでリベラティが前にいく。
中団でのバトルを尻目に上位勢は安定した走りを披露して逃げにかかるも、8周目のホームストレートで18番手を争っていた前日レース1ウイナーのビンゴ・レーシング9号車コルベットC7 GT3-Rとジ・スピリット・オブ・FFFレーシングの19号車ランボルギーニ・ウラカンGT3が接触、両車がクラッシュを喫してしまったため2度目のSCが導入される。幸いにもステアリングを握っていた飯田章と濱口弘のふたりは自力でマシンを降りている。
マシンが浮き上がるほどの大クラッシュに見舞われた飯田だが、レース後に話を聞くと「体は大丈夫」とのことで大きな怪我はない様子。しかし前日のレース1で優勝を飾ったコルベットC7 GT3-Rは大きなダメージを受けてしまった。
このアクシデントで散らばってしまったパーツの回収およびガードレールの修復完了後、レースは13周目から再開される。その再スタートでトップ争いの37号車ジュンカデラと911号車ピカリエッロが接触してしまい、37号車メルセデスがガードレールにコンタクトしてリタイアとなってしまう。これで911号車が首位に立ち、2号車リンドをオーバーテイクした4号車オルセンが2番手に上がってくる。
ピットウインドウがオープンになると数台のマシンがピットへ向かうも、プロドライバーで引っ張りたいチームも多く、ここで戦略が分かれる。上位勢では16周目に4号車ポルシェ、1号車フェラーリがピットに向かい、首位の911号車は17周目にピットイン、レース1で2位入賞の10秒ハンディを消化してレースに復帰していく。
しかし911号車はそのレース復帰で2号車とグリーンファイト100Rで交錯し、そのままアウト側にスピンしてポジションを落としてしまう。さらに同じ19周目、ホームストレートでクラフト・バンブー・レーシングの77号車メルセデスAMG GT3が単独クラッシュを喫し、ピット側コンクリートウォールに衝突するアクシデントも発生。ドライバーのジェフリー・リーはマシンを降りているが、パーツがストレート上に散らばったため、この日3度目のSC導入となった。
そのSC中に911号車を押したとしてレースリーダーの2号車にドライブスルーペナルティが提示され、これで22号車KCMGのポール・イップ、47号車Dステーション・レーシングの星野敏、4号車R&Bレーシングのルー・ウェイがトップ3でレースは残り7分から再開となる。
再スタート後はイップと星野によるトップ争いが行われ、23周目の最終コーナーでDステーション星野がKCMGイップのインを差し前に。抜かれたイップもホームストレートで並びかけるも、TGRコーナー進入でブリティッシュグリーンのアストンマーティンがトップに出る。
レース残り1分、トップをいく星野の背後に4号車ポルシェのルー・ウェイが迫るも、ファイナルラップをミスなくまとめ上げた星野敏/藤井誠暢組Dステーション・レーシング47号車アストンマーティン・バンテージAMR GT3が首位を譲らずにトップチェッカーを受け、12番グリッドから大逆転優勝を飾った。Dステーション・レーシングにとってはリタイアに終わった先週のル・マン24時間レースの雪辱を果たす勝利となった。
2位には最終的な差を0.642秒まで詰めたR&Bレーシングの4号車ポルシェ911 GT3 R、3位には30番グリッドから追い上げを披露したR&Bレーシングの87号車ポルシェ911 GT3 R(ボー・ユアン/レオ・イェ)が続く表彰台になった。
GT4クラスはレース1に続いてポールポジションからスタートしたYZレーシング・ウィズ・BMWチーム・スタディの50号車BMW M4 GT4がトップを走行していたものの、ピットレーン通過が宣告されていた3度目のSC中にホームストレートを通過したことで、まさかのブラックフラッグを提示されてしまう。
なお、50号車は最終的にエンジン系のトラブルによりマシンをガレージに入れてしまったものの、Team Studieの鈴木康昭代表によると、SC中のピットレーン通過はドライバーに伝えたが、不運にもマシンがストップしている際に無線を入れたためドライバーに伝わっておらず、その影響で再始動した後にホームストレートを通過してしまったとのことだ。
GT4クラスは50号車の脱落により、代わってアキランド・レーシングの71号車トヨタGRスープラGT4が首位に立つも、最終的に大塚直彦/小林翔組のチェックショップ・ケイマニア・レーシング718号車ポルシェ・ケイマン718 GT4 RSクラブスポーツがトップチェッカーを受けクラス優勝を飾っている。
これで2日間にわたる第2ラウンド富士大会を終えたGTWCアジア。次戦は7月15〜16日に鈴鹿サーキットで第3ラウンドとなる第5戦、第6戦が行われる予定だ。
■GTワールド・チャレンジ・アジア第2ラウンド/第4戦決勝レース結果
ファナテックGTワールド・チャレンジ・アジア・パワード・バイAWS
第2ラウンド/第4戦決勝レース結果
Pos. No. Class Team Car Driver Laps/Gap
1 47 GT3 Pro-Am Dステーション・レーシング アストンマーティン・バンテージAMR GT3 星野敏/藤井誠暢 27Laps
2 4 GT3 Pro-Am R&Bレーシング ポルシェ911 GT3 R(992) L.ウェイ/D.オルセン 0.642
3 87 GT3 Silver R&Bレーシング ポルシェ911 GT3 R(992) B.ユアン/L.イェ 1.195
4 5 GT3 Pro-Am プラス・ウィズ・BMWチーム・スタディ BMW M4 GT3 山口智英/荒聖治 4.073
5 22 GT3 Pro-Am KCMG ホンダNSX GT3 EVO P.イップ/E.リベラティ 8.447
6 55 GT3 Am チームウエマツ マクラーレン720S GT3 植松忠雄/植松忠雄 9.321
7 13 GT3 Pro-Am アウディスポーツ・アジア・チーム・アブソリュート アウディR8 LMS GT3 EVO II S.ジンズー/F.チェン 10.171
8 1 GT3 Pro-Am カーガイ・レーシング フェラーリ296 GT3 木村武史/K.コッツォリーノ 11.171
9 3 GT3 Am クライマックス・レーシング メルセデスAMG GT3 EVO H.ユーチー/B.イェ 11.172
10 992 GT3 Pro-Am アブソリュート・レーシング ポルシェ911 GT3 R(992) B.ジンロン/A.インペラトーリ 11.228
11 911 GT3 Pro-Am AASモータースポーツ・バイ・アブソリュート・レーシング ポルシェ911 GT3 R(992) V.インタラプワサク/A.ピカリエロ 12.247
12 7 GT3 Am コメット・レーシング フェラーリ488 GT3 山﨑裕介/辻子依旦 12.886
13 888 GT3 Pro-Am トリプルエイトJMR メルセデスAMG GT3 EVO H.H.プリンス・アブドゥル・ラーマン・イブラヒム/R.スタナウェイ 15.829
14 88 GT3 Pro-Am トリプルエイトJMR メルセデスAMG GT3 EVO H.H.プリンス・アブ・バーカー・イブラヒム/L.ストルツ 16.901
15 14 GT3 Pro-Am ハブオート・レーシング・ウィズ・GTO ポルシェ911 GT3 R(992) B.リー/安岡秀徒 18.744
16 555 GT3 Pro-Am マエザワ・レーシング フェラーリ488 GT3 P.ブロムバクディ/横溝直輝 20.120
17 18 GT3 Pro-Am ポルシェセンター岡崎 ポルシェ911 GT3 R(992) 永井宏明/上村優太 26.506
18 16 GT3 Pro-Am ABSSAモータースポーツ マクラーレン720S GT3 片山究/澤圭太 27.118
19 8 GT3 Pro-Am EBM ポルシェ911 GT3 R(992) S.サントソ/R.ハーカー 27.467
20 51 GT3 Am AMACモータースポーツ ポルシェ911 GT3 R(991.1) A.マクファーソン/W.ベン・ポーター 28.551
21 60 GT3 Pro-Am LMコルサ フェラーリ488 GT3 中西慧/脇阪薫一 28.999
22 33 GT3 Pro-Am チームGMB メルセデスAMG GT3 EVO 羽田野宏明/細川慎弥 29.687
23 2 GT3 Pro-Am クライマックス・レーシング メルセデスAMG GT3 EVO Z.ビーファン/D.リンド 34.994
24 11 GT3 Pro-Am アウディスポーツ・アジア・チーム・アブソリュート アウディR8 LMS GT3 EVO II A.ハルヤント/J.ユー 36.201
25 360 GT3 Am ランアップ・スポーツ ニッサンGT-RニスモGT3 西川正明/田中篤 1’05.469
26 718 GT4 Am チェックショップ・ケイマニア・レーシング ポルシェ・ケイマン718 GT4 RSクラブスポーツ 大塚直彦/小林翔 1Lap
27 71 GT4 Silver-Am アキランド・レーシング トヨタGRスープラGT4 大山正芳/阪口良平 1Lap
28 97 GT4 Am Kチューンズ・レーシング トヨタGRスープラGT4 野上昌範/藤井大温 1Lap
29 29 GT3 Silver ファントム・プロ・レーシング アウディR8 LMS GT3 EVO II L.カン/C.チー 3Laps
30 25 GT3 Pro-Am NKレーシング ポルシェ911 GT3 R(992) 内山清士/近藤翼 4Laps
31 96 GT3 Pro-Am Kチューンズ・レーシング レクサスRC F GT3 末長一範/新田守男 5Laps
32 77 GT3 Pro-Am クラフト・バンブー・レーシング メルセデスAMG GT3 EVO J.リー/M.ゲーツ 9Laps
NC 37 GT3 Pro-Am クラフト・バンブー・レーシング メルセデスAMG GT3 EVO A.シュウ/D.ジュンカデラ 14Laps
NC 72 GT3 Pro-Am ハブオート・レーシング ポルシェ911 GT3 R(992) M.チェン/A.パレンテ 15Laps
NC 19 GT3 Am ジ・スピリット・オブ・FFFレーシング ランボルギーニ・ウラカンGT3 EVO 濱口弘/大蔵峰樹 19Laps
NC 9 GT3 Pro-Am ビンゴ・レーシング コルベットC7 GT3-R 武井真司/飯田章 19Laps
NC 333 GT3 Pro-Am ファントム・プロ・レーシング アウディR8 LMS GT3 EVO II X.アン/M.マック 25Laps
NC 500 GT3 Pro-Am チーム5ZIGEN ニッサンGT-RニスモGT3 HIROBON/川端伸太朗 27Laps
50 GT4 Silver-Am YZレーシング・ウィズ・BMWチーム・スタディ BMW M4 GT4 G82 加納政樹/織戸学
CarNo.2:ドライブスルーの代わりにレース時間30秒追加
CarNo.50:黒旗