実店舗を持たない「白紙」。有名カフェの店主が魅せる新しいカフェの世界と一期一会の幻のデザートとは?

コロナ禍をきっかけに、実店舗を持たないお取り寄せ専門のブランドが増える中で、また新しいスタイルのお店が。その名前は「白紙」。実店舗を持たず、ポップアップ展開のように毎回開催場所も、メニューも異なるという。

「白紙」というお店を通じながらも、毎回異なる空間とスイーツ。なぜそのようなスタイルになったのか、店主の大熊さんにインタビュー。新しいカフェの在り方について、深掘りしてきました。

新橋にある人気店「CAFE 粥/CAFE KAYU」閉店後に生まれた真っ白な「白紙」

今回取材させていただいたのは、たまたま取材日にカフェとして間借りされた清澄白河のシェアキッチン。よく利用しているとのこと。

この「白紙」は、新橋・内幸町にあった人気店「CAFE 粥/CAFE KAYU」の店主、大熊さんが開いたお店です。宝石箱のようなプリンがSNSでも話題になったお店で、2021年に惜しまれつつ閉店しました。

「白紙」として2022年に生まれ変わり、現在はInstagramにて開店のスケジュールや時間帯、また毎回変わる開催場所、そして毎回変わるメニューを事前予約にて受け付けています。

現在は予約以外でも、席が空いていればフリーで楽しむことも可能なんだそう。ではなぜこのスタイルにしたのでしょうか? 大熊さんに聞きました。

なぜ「白紙」? 込められた意味

大熊さん「コロナ禍の中で、前のお店をカフェ粥をOPENさせました。人通りもほとんどなく、あらゆるリスクを考え今はこの実店舗がないスタイルを選んでいます。

そしていい意味で飽き性なので、自分がやりたいことを自由にやれる空間が欲しかったんです。前のお店ではメニューもコンセプトも固定でした。この『白紙』は、お客さんに色を付けてもらえる、お客さんが埋めるようなイメージで名前をつけました。またもともと最初は「」が店名の予定でした。

いい意味で何も考えていない、今思っていることを商品にしていますね。

アイデアに満ち溢れたデザート

メニューは大熊さんがやりたいもの、試したいこと、食べさせたいこと、そのときそのときの気分で変わるんだとか。

どのメニューも見た目の美しさ、クリエイティブの洗練されたスイーツは圧巻です。

今回の取材で、見た目に驚いたのはこちらのチョコレートのムース。アイスクリームかと思いきや、実はムースになっていて刺さっているコーンをぐっと押し込んで、アイスクリームのように手で持って食べることができます。甘酸っぱいベリーのソースとの相性も〇。

そして続いてはパフェ。こちらはボリューミーなミルフィーユが乗っかり、食べ応え抜群の構成で、中にはバナナも。見た目にも「映える」という言葉がしっくりくる、大熊さんが作るデザート。そのセンスの良さには大熊さんの経歴に秘密がありました。

アパレル業界を経て、コーヒーの世界へ

店主の大熊さんは、新卒でアパレル業界へ。ちょうど、4~5年たったぐらいのときに、業界転職が多いことから違うブランドへ転職を、というタイミングでコーヒーの世界との人生を変える出会いが。

大熊さん「清澄白河のサードウェーブの流行りとぶつかり、知っていた方がコーヒーを立ち上げると聞いて、焙煎所を見学させていただいたんです。そこでは自分の知らない世界が広がっていて、驚いたのを覚えています。

そこからコーヒーの世界に入り、ハンドドリップやラテも勉強。その後は様々なお店を渡り歩きました。デザートに関しては、まったくの素人だったんですが、とあるカフェで、お菓子づくりをしなければいけなくなり、パウンドケーキ焼いたりとか、日々お菓子と接する機会がありました。

ちょうどその時、インスタ映えというキーワードが流行り始めて、僕が作ったケーキがSNSでバズったんです。お店に列ができたり、カフェをやるんだったらこういうスイーツが作れないと話にならないんだと思ったのがその時でしたね。」

取材中も凄く親切で優しい大熊さん。常連のお客さまも多いそうで、それも納得。これから「白紙」は大熊さんの頭の中で色々な発展を遂げていきながらも、凄く居心地のいいカフェになりそうです。場所は毎回違えど、ぜひ大熊さんに会いに行ってみてくださいね。

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