F1 Topic:ふたつのインシデントで召喚された角田。ヒュルケンベルグとの一件は“不必要に妨害”との裁定

 F1第9戦カナダGPの予選Q1で角田裕毅(アルファタウリ)にアタックを妨害されたとして、シャルル・ルクレール(フェラーリ)が無線で不満をぶちまけたのは、国際映像でもとらえられていた。

 ルクレールが後ろから接近していることをチームから知らされていたのかという筆者の質問に、角田は予選後こう説明していた。

「はい、知らされていましたけど、ちょっと……。まあ、向こうはQ2へ進出しているので、なんの問題もないと思います。しかも、セッションの前半だったので、そんなに邪魔になったとは思っていません」

 予選後、スチュワードはチームマネージャーとともに訪れた角田から事情を聞くとともに、マーシャリングシステムによる位置データと車速、チーム無線、車載映像などを確認した。

チームマネージャーと共にスチュワードのもとに向かう角田裕毅(アルファタウリ)

 その結果、スチュワードは「22号車は、10コーナー付近で2号車に遅れをとり、その結果、ターン12とターン13の間のストレートの一部でプッシュラップを中止した。一方、その背後にいた16号車はプッシュラップ中で、22号車に急接近していた。22号車にとっては、ターン13手前の短い距離で、難しい状況であった。したがって、22号車は不必要に16号車を妨害したわけではないと判断する」として、角田を不問に付した。

 しかし、角田はQ1でもう1件、審議の対象になっていた。それはニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)に対する妨害行為だ。

 スチュワードによれば、22号車と27号車は共にプッシュラップ中で、22号車が前にいた。ところが22号車はターン10の進入でワイドになり、その直後に27号車が22号車に追いついたのだが、22号車はそのまま復帰しようとして、27号車に幅寄せする形となった。

 スチュワードは「ワイドになった時点で前のラップタイムより約3秒遅くなったにもかかわらず、27号車に幅寄せし、幅寄せした後に走行ラインにとどまった22号車の行為を「不必要に妨害」と判断。「幅寄せした後、プッシュラップを中止してレーシングラインから外れていれば、妨害を回避することができた」として、3番手降格のペナルティを角田に科し、日曜日に行われるカナダGP決勝レースは19番手からスタートする予定となっている。

 ただし、今回のカナダGPは角田を含め、5人のドライバーがスチュワードに呼び出されるという、難しいコンディションのなかで予選が行われていた。そのうち、予選で2番手を獲得したヒュルケンベルグと、Q3に進出したカルロス・サインツ(フェラーリ)もペナルティを科せられていることを付け加えておく。

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