大分大生ら、安心院町の古民家を宿泊体験施設に 地域活性化の拠点目指す【大分県】

古民家を生かした地域活性化に取り組む山浦陽一准教授(後列右端)とゼミ生ら=宇佐市安心院町
空き家だった古民家を再生した「古民家BASE龍王」

 【宇佐】宇佐市安心院町龍王で、大分大の学生らが空き家だった古民家を宿泊体験施設として再生した。改修中は住民と交流するなどして農山村地域の歴史や現状も学んだ。地域活性化の拠点を目指し、今後は周辺環境の整備を進める。

 取り組んでいるのは、農業経済学や地域運営組織を研究する経済学部の山浦陽一准教授(44)のゼミ生。

 同市で地域活性化のビジョン作りに関わってきた山浦准教授が、地元の農業生産法人代表宮田宗武さん(48)と「古民家再生に学生のアイデアを取り入れよう」と意気投合。2020年からスタートした。

 場所を築125年の木造2階で鏝絵がある空き家に決めた後、学生たちはかつての住人に当時の暮らしを聞き取ったり、地域住民と交流したりしながら、リノベーションのアイデアを膨らませた。

 改修工事で、古民家にはらせん階段や床暖房といった工夫を凝らした。学生たちも庭の整備に従事。新型コロナウイルス禍の中、月1、2回足を運んで汗を流した。

 学生の入れ替わりもあり、これまで約70人が関わった。卒業後も住民と交流を続けている人もいるという。

 工事は3月に完成。「新しい古民家のあり方を発信する拠点に」との思いを込め、「古民家BASE龍王」と名付けた。宿泊体験施設として1棟貸しを始め、既に15組以上が利用。宮田さんは「学生ならではの発想で、宿泊者に感動を与えられているようだ」と話す。

 学生は今後、周辺の竹林を切り開いてのキャンプ場整備、集客力を高める宣伝方策の検討などを進める方針。

 山浦准教授は「学生たちには取り組みを通し、自主性や地域課題を見つけられる力を養ってほしい」と期待している。

 古民家BASE龍王は大手旅行予約サイトで申し込みができる。

© 有限会社大分合同新聞社