少年の成長見守る 茨城県警「大学生サポーター」15年目 農作業や非行防止教室

農作業に汗を流す大学生サポーター=水戸市全隈町

学生が青少年の健全育成活動に協力する茨城県警の「大学生サポーター」が、活動15年目を迎えた。過去に非行に走ったり、生活に問題があったりする少年の「身近なお兄さん、お姉さん」として活躍。学生たちは「(心の)変化を感じる瞬間がうれしい」と語り、少年の成長を温かい目で見守っている。

大学生サポーターは2009年度に始まり、県警は延べ482人に委嘱。本年度は県内外の大学生や大学院生計34人が務めている。活動は、少年との農作業や街頭での少年補導、学校での非行防止教室などが中心となっている。

学生たちに求められるのは、10代少年たちの「身近なお兄さん、お姉さん」の役割だ。

水戸市ふるさと農場(同市全隈町)で5月下旬に行われた農業体験では、大学生サポーター6人をはじめ、少年2人や県警少年サポートセンター職員らが参加した。少年が多世代間と交流し、自分で育てた作物を自分で食べる成功体験を持つ機会創出が目的。参加者は協力し合いながら、サツマイモや落花生の苗植えなど農作業で汗を流した。

農場では、無線が趣味という少年に、筑波大大学院1年、本間伸太朗さん(23)が「どういうことをするの?」と話しかけ、少年を交えた参加者同士で盛り上がる場面が見られた。

少年に非行事実を尋ねることは禁止されているが、「だからこそ(少年を)色眼鏡で見ることがない」と本間さん。将来は高校教員を目指しているといい、「少年が変わっていく様子を見ることができる。貴重な体験でやりがいもある」と活動の意義を語る。

農作業後に少年と食卓を囲んだ茨城キリスト教大4年、江畠和希さん(21)は、少年が自然に会話に加わったことに喜びを感じた。「以前会った時よりも打ち解けられたかな」と語り、少年の心の成長を実感している。

同センターによると、参加者には対人関係を築くのが苦手な少年もいるが、共同作業を通して学生と次第に打ち解けるケースがあるという。酒井克子課長補佐は「少年たちは、日々の生活で生きにくさを感じている。活動を通して生きる喜びを知ってほしい」と期待を寄せる。

吉村祐二センター長は「少年と同じ目線で接することができるのが大学生の強み。大学生にとっても良い経験になるのではないか」と話した。

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