千葉市内にイノシシ大量発生 箱わなで一度に15匹捕獲 住宅地でも目撃情報 捕獲の男性「もし捕まえられなかったら、来年は大変なことに」

千葉市若葉区で捕獲されたイノシシ=9日

 千葉市内で捕獲されるイノシシなどの有害鳥獣が増えている。8日には若葉区で、1基の箱わなに子どものイノシシ15匹がかかっているのが見つかった。15匹を捕獲した人は「都市部にもイノシシが出没する可能性がある」と警鐘を鳴らす。市には住宅地での目撃情報も寄せられており、市はイノシシを見かけても近づかないように呼びかけている。

 市は猟友会、JAなどと「千葉市鳥獣被害防止対策協議会」を設置して対策を行っている。同区内の山林に設置された箱わなで15匹が発見されたのは8日夜。わなを仕掛けた男性(50)は猟友会のメンバーで、約7年にわたり有害鳥獣を捕獲しているが「一度に15匹もかかることはめったにない」と驚いた様子だった。

 市によると、市内で2017年度に捕獲されたイノシシは12匹だったが、22年度には145匹まで増えた。アライグマやハクビシンの捕獲数も増加傾向になっている。

 有害鳥獣による農作物の被害額は例年1200~1300万円で推移し、野菜や豆類、落花生などの食害がある。イノシシの被害は緑区の越智町、下大和田町、大木戸町、土気町や若葉区の中野町などで確認されている。

 男性は5月20日に市民から市農政センターに寄せられた子連れのイノシシの目撃情報に基づき、同27日にわなを設置していた。通常は箱わなを設置してから捕まえるのに半年はかかるとされるが、今回は子どもで警戒心が薄かったことなどから早期の捕獲につながったという。

 男性によると、イノシシは本来1匹で子どもを育てるが、群れて子育てをすることもある。男性は「イノシシ1匹が10年後には100匹になる」と指摘し「もし捕まえられなかったら、来年は大変なことになっていた」と話した。

 男性はイノシシが住宅地に出没することにも警戒を呼びかけている。昨年4月以降、若葉区の千城台地区や緑区のおゆみ野地区、あすみが丘地区といった住宅地でもイノシシの目撃情報があった。

 市もイノシシを発見した場合は大声を出したり、追い回したりせず「ゆっくりとその場を離れて。絶対に餌は与えないで」と注意喚起している。

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