今、静岡・東部の狩野川では、アユなどをエサとする鳥「カワウ」が増え、釣り人や観光関係者の頭を悩ませている。一体なぜ増えてきているのだろうか?
県東部を流れる狩野川。早朝、訪れると…。
(坂井太一 記者)
「いたいたいたいた!今カワウ…あ、もぐった!」「飛んでる飛んでる」
さらに、下流にも…。
(坂井太一 記者)
「水面を泳いでいます、もぐった~」「羽を広げて…こっちに飛んでいきました」
いたる所で姿を現すカワウ…。カワウは、ペリカンの仲間で、体長は約80cm、水に潜りアユなどをエサとし、1日10匹ほどの魚を食べるという。狩野川と言えば“アユ釣りの聖地”として知られているが、今、“カワウによる食害”が問題となっているのだ。
釣り人が“オトリ”となるアユを購入する店では、カワウが来ると付近の住民に配慮しながら「ロケット花火」で追い払っているという。
(旭水園 菊地文子さん)
「年々増える、どんどんと、群れで来ると半日釣りにならない」「本当に困ってます、毎日打ってでも追い払わないと漁場が守れない」
釣り人によると、15年ほど前からカワウを見かけるようになったという。
県の2023年の調査では、県全体で約8300羽確認され、そのほとんどが西部で、東部は約500羽だった…。一説によると“神奈川方面”から東部にも生息地を広げて来たと考えられている。
カワウによる被害は、全国的にも問題となっている。滋賀県では1990年代に爆発的に増加し、2004年には4万羽を超える生息数を確認。当時、水産被害などが問題となった。その後、駆除など対策を進め、2016年には約6500羽まで減少したが、再び増えてきているという。
(カワウの生態に詳しい琵琶湖博物館 亀田佳代子 副館長)
「全国的にも数が増えて、分布も広がっている状態、高度経済成長期1960年代70年代に生息環境が悪化したり、公害が生じる環境の悪化があった時代にはいったん減少した」「その後、(環境が改善し)数が一気に増えてしまった背景がある」
“地域の資源”にもなっている“アユ釣り”。狩野川漁業協同組合は「行政に対策を進めてほしい」と話す。
(狩野川漁業協同組合 井川弘二郎 組合長)
「放流したアユは最初は弱く群れで動く、それを一網打尽にしてカワウが食べる」「地域の資源にもなっている、釣りに来る客が地域に宿泊する、地域を潤していることが昔からある、非常に困っています」
伊豆市は早くて7月から本格的に調査を始める方針で、県や専門家と共同でドローンを使って巣を特定し、その調査結果を踏まえ、具体的な対策を協議していくという。