TOTOファミリー大集結!スティーヴ・ルカサーの最新アルバム「ブリッジズ」に歓喜  TOTO来日公演も決定!スティーヴ・ルカサーの最新アルバム「ブリッジズ」

「ホールド・ザ・ライン」45周年、7月にはTOTO来日公演

2022年から今年の2023年にかけては、1970年代から現在まで活動を続ける伝説のアメリカンバンド、TOTOにとってメモリアルな年になっているようだ。今年は世界の若者を興奮の坩堝に巻き込んだ衝撃のデビュー曲「ホールド・ザ・ライン」から45周年を迎え、スティーヴ・ルカサーのアルバム発売に伴って7月には来日公演が行われる。

昨年はTOTO史上最大のセールスを記録したグラミー獲得名盤アルバム『聖なる剣(TOTO Ⅳ)』から40周年だったということで同作のデラックスエディションが発売、昨年から今年にかけてTOTO周辺が俄かに騒がしくなってきている。1990年代以降はライブ活動中心になってはいるものの、45年という長きにわたるTOTOの継続的人気の高さは他の同時期のバンドと比すれば特筆ものだし、特にコンスタントな来日公演を実現している日本での人気の高さは驚異的といってもいいようなものだ。

産業ロックムーヴメントの3大ロックバンド、ボストン、TOTO、フォリナー

TOTOのデビューは1978年、アメリカンロックがサイケロック~サザンロック~ウェストコーストロックという大きな流れを作り、かたやブリティッシュロックがハードロック / プログレッシヴロックからどんどんヘヴィメタルな方向に向かうという時代だった。

1976年のボストンの登場が大きなきっかけとなり、TOTOとほぼ同時期に台頭したフォリナー(英米混合)等の活躍で、1980年代洋楽の象徴的事象のひとつだったいわゆる “産業ロック” の潮流の中心的存在となっていく。

そう、ボストン、TOTO、フォリナーは産業ロックムーヴメントの3大ロックバンド(勝手にそう呼んでます!)といえる存在だった。

そもそも産業ロックムーヴメントは日米で絶大なる支持を得ていたが(アメリカではスタジアムロックやアリーナロックという呼称)、特に日本では従来のアメリカンロックファンから一般的洋楽ファンまでを巻き込んで根強い人気を得ていたようだ。産業ロックという呼称には、商業主義に振り切りすぎているという揶揄・皮肉の意味合いが多分に含まれているが(命名者である『ロッキングオン』渋谷陽一氏もその意味合いは強かった)、ロックンロール誕生以降の大衆音楽のすべては商業主義を根幹に据えた音楽であることを忘れてはいけない。

ロックの歴史を大局的に俯瞰すれば、プログレやヘヴィメタル、はたまたサザンロック等と産業ロックの差異なんぞは微々たるものだ。しかし、この微々たる差異の革新性に、ロックファンは一喜一憂することになる。産業ロックアーティストたちには大なり小なりハードロックの味付けがなされており、案外そんなところに人気のキモが見えたりするのかもしれない。

売れっ子で腕利きなスタジオミュージシャンの集まりだったTOTO

さてTOTOに話を戻そう。産業ロック3大グループの中でも、日本におけるTOTO人気は突出しているといえるだろう。トム・ショルツのワンマン体制でフィニッシュドプロダクトのソリッドかつパーフェクトな完成に心血を注いだボストン、プログレ / ハードロックバンドのエリートを集めてポップな英米ロックの粋を追求したフォリナーに対抗して、売れっ子で腕利きなスタジオミュージシャンの集まりだったのがTOTO。

それぞれのメンバーの高度で完璧な演奏テクニックを基盤に、それを聴くものに感じさせないほどのポップなAOR風情の新たなアメリカンロックを呈示、さらには売れることを主目的にしていることを隠さずに明確に打ち出して、ある種の潔ささえをも感じさせるところ…。

TOTOが日本で大きな人気を博すのは、当然のことだったのかもしれない。さらにはギタリストに人気がいきがちな日本において、スティーヴ・ルカサーのカリスマ性や、“ポーカロ・シャッフル” なる言葉を生んだ、ドラマー、ジェフ・ポーカロの誰にも真似できない究極のテクニック等、それら要素もTOTO人気の箔付けにひと役かっていたのは間違いない。

TOTOファミリーが大集結! スティーヴ・ルカサー最新アルバム「ブリッジス」

TOTOの長い歴史の中で、常に在籍していた唯一のメンバーが、スティーヴ・ルカサー。そのルカサーが2023年6月に最新アルバム『ブリッジス』をリリースした。デヴィッド・ペイチ、ジョセフ・ウィリアムス、サイモン・フィリップス、シャノン・フォレスト、リー・スカラー、ランディ・グッドラム、そしてトレヴァー・ルカサー(スティーヴの息子!)たち、いわばTOTOファミリーが大集結したアルバムだ。

ルカサーのソロとしての音楽とTOTOの音楽との架け橋(ブリッジス)というべき作品。「TOTOがもうスタジオ・アルバムを作ることはないと思われる今、“TOTOのスタイルの1枚” を作りたかったんだ。そこに近づける限り近づいたアルバム、ということさ」とルカサーが語る通り、これはTOTOの新作と捉えてもいいという作品だろう。

コロナ禍以降初となる絶妙のタイミングでのTOTOジャパンツアー(2023年7月、全国8公演!)がスタートする。これはもう日本のTOTOファンにとっては、痒いところに手が届くライヴになるのは確実だ。

カタリベ: KARL南澤

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