雅子さま 大統領夫人の活動に共感も…インドネシアご訪問で期待される“悲願のご視察”

6月17日、羽田空港で政府専用機に乗り込まれる天皇陛下と雅子さま

初めて国賓として招かれインドネシアに滞在されている天皇陛下と雅子さま。6月17日、首都ジャカルタに到着された両陛下は盛大な歓迎を受け、19日にはジョコ大統領やイリアナ夫人と会見された後、午餐会に臨まれた。両陛下が食事を伴う行事に出席されるのは、2020年に行われた天皇陛下のお誕生日の祝賀行事以来、およそ3年ぶりのことだ。

かねて外交官としてのキャリアを生かしながら、皇室のご活動に貢献されることを悲願とされてきたからこそ、雅子さまのインドネシアご訪問に懸けるご熱意は並々ならぬものがあった――。

「1カ国のご訪問としては、1~2日多い日程となっています。これは両陛下に“二人でやり遂げたい”という強いお気持ちがあって、こうしたやや余裕のあるスケジュールが組まれたと聞いております」(宮内庁関係者)

天皇陛下も、雅子さまと一緒に訪問されることを強く願われていた。ご訪問に際しての記者会見でも次のように述べられている。

《私単独での親善訪問が続いておりましたけれども、今回は二人で行くことになったことを、私も大変うれしく思っております》

そして陛下は、雅子さまのご負担が減るように、スケジュール面で配慮されるご尽力を続けられていたのだ。皇室担当記者は、

「昨年9月にエリザベス女王の国葬に参列するため訪英された際、雅子さまは一部の行事を欠席されました。しかし、ウェストミンスター寺院での国葬へのご参列や、その後のレセプションには出席され、ご体調を整えながらお務めを完遂されたのです。

一種の“成功体験”となったため、今回のインドネシアご訪問でも、雅子さまにとってゆとりのある日程が組まれることになったのだと思います」

お二人で手を取り合って羽ばたかれる国際親善――。雅子さまのご体調を配慮した日程とあって、陛下が2日間別行動される時間がある。

「21日から22日は、陛下は単独でインドネシアの古都・ジョクジャカルタを訪問されます。この間、雅子さまはジャカルタに残りご体調を調整する予定ですが、ご無理のない範囲で“ライフワーク”である恵まれない子供たちへの支援施設を視察することを願われているようなのです。

2009年に上皇ご夫妻がカナダから国賓として招かれたとき、美智子さまが単独で図書館を訪問されたこともありました。天皇陛下と皇后さまが外国で別行動をとられるケースは、めずらしいことではないのです」(前出・宮内庁関係者)

■貧富の格差が広がる窮状にご心痛を……

恵まれない環境にある子供たちへ寄り添う活動に、全力を注がれてきた雅子さま。

「療養に入られる前から、雅子さまは困難な状況にある子供たちに心を寄せられていました。ご体調が思わしくないときでも、おしのびで聖路加国際病院の小児病棟を訪問されて重病の子供たちを励まされ、複数の児童養護施設をお訪ねになってきたのです」(前出・皇室担当記者)

インドネシアは著しい経済成長を続けるいっぽう、貧困層にある人々の数はおよそ2600万人に達するともいわれている。こうした人々の苦境には、雅子さまも心を痛めていらっしゃった。

「昨年7月に来日したジョコ大統領とイリアナ夫人との会見の際にも、夫人が取り組む子供たちへの支援活動が話題となりました。大統領夫人は、スラムに住む貧困層の子供たちに向けたコロナ対策の普及活動を紹介し、雅子さまは熱心にお聞きになっておられました」(前出・宮内庁関係者)

会見で打ち解けられたのか、お見送りの際に、夫人の手を合わせるインドネシア風の挨拶に応じて、雅子さまも手を合わせるしぐさをされていた。前出の皇室担当記者はこう続ける。

「イリアナ夫人は、ジャカルタ市内にある保護が必要な子供たちのリハビリテーション施設をたびたび訪問したり、孤児や貧困世帯の子供たちを大統領宮殿に招待するなど、積極的に子供たちを支援する活動に取り組んできました。子供の貧困や虐待といった社会問題に対して共感し合うからこそ、雅子さまも夫人のご活動をご覧になりたいお気持ちを抱かれているように感じます。

いっぽうで夫人も、雅子さまの恵まれない子供たちへの慈しみのお心をご存じでしょう。もし雅子さまのご体調が許すならば、貧困にあえぐスラムの子供たちを支援する施設にお招きしたいと、夫人も考えていると思います」

雅子さまにとって約20年半ぶりとなる国際親善を目的にした今回のご訪問には、“スラムの子供を抱きしめたい”という願いが秘められていたのだ――。

精神科医の香山リカさんは、今回のご訪問が雅子さまのご体調にとっても好ましい影響があると指摘する。

「雅子さまは海外を訪問されたことで、お若いころに過ごされた海外生活での思い出や、外交官時代のさまざまな人たちとの交流などを思い出されることでしょう。それは、“元気なころの私はこうだった”というように、以前のご自身のことを思い出すことにつながり、“力”になるのです」

苦しむ子供たちに寄り添うという熱望を心に抱きながら、これからも雅子さまは歩まれる。

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