「多くの選択肢を持てるため」選手たちに複数の役割を求める森保一監督、将来を見据えた“コンバート”戦略「スペシャル+他のポジションでも機能」

[写真:©︎CWS Brains, LTD.]

日本代表の森保一監督が、キリンチャレンジカップ2023のペルー代表戦に向けて前日会見に臨んだ。

15日に行われたエルサルバドル代表戦では、開始1分で先制すると、2分で相手が一発退場となり、ほとんどの時間を数的有利な状態で過ごすことに。しかし、チームはそれでも90分間トーンダウンすることなくプレーを続け、終わってみれば6-0での勝利となった。

新たなことにチャレンジしている日本代表。一方で、「世界一」を目標に掲げて活動する中、今やっていることについては「チーム作りの中で、W杯なのか、アジアの戦いかの区分けはしていません。チームコンセプトの浸透と、我々の現在のレベルアップをどうしていくかにフォーカスしています」とコメント。「目標はもちろんありますが、常に我々がレベルアップすることが大事だと思うので、目の前の試合に向けて、今の我々の力を上げていくというところで積み上げていこうと思っています」と、何かにフォーカスするのではなく、自分たちが強くなることが最優先だと語った。

その中で、練習では新たな選手の組み合わせも試している。3トップにはFW古橋亨梧(セルティック)、MF伊東純也(スタッド・ランス)、MF三笘薫(ブライトン&ホーヴ・アルビオン)を並べていた。

狙いについては『彼らだけでなく、選手それぞれの個の良さを発揮しながらということと、チームとして戦術的に一丸となって戦うという、難しいですが両方表現して欲しいと思います」と語り、「組み合わせに関しては、我々が今後力をつけていく上で、誰が出ても勝つということと、誰と組んでも機能するという部分。固定した選手だけではなく、チームの選手層の幅を広げる、システム的にも人の組み合わせとしても多くの選択肢を持てるための試合に明日はできればと思っています」と語り、固定化させずに多くの組み合わせを試し、特徴が一番出る形を見つけていきたいという。

また、「選手層も1チームだけでなく、2チーム分、3チーム分とより高いレベルの選手層から、その都度の大会にベストな選択ができればと思っています」と、多くの選手が機能するように厚みを持たせたいとコメント。「今の日本代表の選手を見ても、力のある選手たちは非常に各ポジション多いですし、ポジションの中でもちろん競争は見ていかなければいけないですが、同等の力を持っている選手たちを各ポジションで少しでも多く、何があっても準備していけるようなチーム作りをしていきたいです」と、多くの選手がレベルアップし、代表のポジション争いを活性化させていきたいと語った。

その点では、今回はトレーニングを含めてサイドバックに新たな手を加えている。クラブでは本職ではないFW中村敬斗(LASKリンツ)とMF相馬勇紀(カーザ・ピア)をサイドバックに配置。相馬はエルサルバドル戦で右サイドバックで出場していた。

この狙いについては「チームのコンセプト、考え方の中にも良い守備から良い攻撃にというものがあり、まず守備の部分があり、そこで役割を果たしてもらいたいと思っていますし、どっちがどっちではなく、攻撃であったり守備であったりではなく、良い守備からというチームのコンセプトの中で、役割、力を発揮してもらいたいと思います。同時に攻撃の部分でもそれぞれの良さを出して、プレーに関わって欲しいなと思っています」とコメント。攻守両面で期待を寄せているとした。

相馬に関しては「チームでは4バックでは戦っていなくて、3バックのチームでシャドーやウイングバックでプレーしている部分。サイドの上下動をしながら、局面でも守備が強い。前回もアシストしたように、攻撃でも良さを発揮したように、4バックではウイングでもできますが、サイドバックでも力を発揮して欲しいなと」と、対人守備は一定のレベルがあり、攻撃面で違いを見せて欲しいとした。

中村については「中村敬斗も、攻撃の部分で良さ、特徴がある選手だと思っていますが、全ての選手たちに1つのポジションのスペシャルな部分を持ちながらも、ポリバレントな複数のポジションをやってもらえるようにということは、これまでも要求してきましたし、これからもそういった形で、スペシャル+他のポジションでも機能できるようにやってもらいたいと思っています」と、サイドバックに限らず、多くの選手が複数ポジションを務められるチームにしたいと語った。

実際にボランチとCB、SBとCB、ウイングとトップ、ウイングとインサイドハーフなど、多くの選手が複数のポジションができる状況だ。

また、これは長期的にチームを強化していく上では必要だと語る森保監督。「短期の親善試合2試合、1試合であるならば1つのポジションでも良いと思いますが、ワールドカップやアジアカップなど大きな大会では7試合、8試合を想定したときに限られたメンバーの中で、色々な想定のことが起こった時に、1つのポジションだけでなくプラスのポジションができる選手がいることで、色々な想定外のことにも対応できると考えています」とコメント。招集人数が限られ、タイトに試合を行っていくところでは、尚更重要になるポイントだとした。

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