抗原検査やってないのに…新型コロナ検査補助金だまし取る、容疑の社長ら逮捕 不正請求の総額7千万円超か

埼玉県警察本部=さいたま市浦和区高砂

 埼玉県に虚偽の報告を行い、新型コロナウイルスの抗原検査の補助金をだまし取ったとして、県警捜査2課と東入間署は19日、詐欺の疑いで、無料検査実施事業所「上杉薬局富士見店」(富士見市)を運営する「Assist・Medical(アシストメディカル)」の社長の男(32)=東京都板橋区赤塚1丁目=と、同社取締役の男(31)=さいたま市西区峰岸=を逮捕した。

 逮捕容疑は共謀の上、昨年5月10日、同薬局で同年4月分の県PCR検査等無料化事業補助金の請求の際に、抗原検査を行った事実がないのに実施したかのように装い、県に対して補助金を請求。同年6月17日に県から架空の抗原検査234回分の補助金100万1052円を含む、現金計549万4142円を口座に振り込ませ、だまし取った疑い。県警は共犯事件のため認否を明らかにしていない。

 捜査2課によると、受検者自ら申込書を記入するのが一般的だが、アシストメディカルが入手した名簿を基に検査申込書を作成。上杉薬局富士見店で実際に検査をしたことにして名前など虚偽内容の申込書を県に提出していたとみられる。

 社長の男が業務全体を統括し、取締役の男が同店の責任者で補助金の請求事務手続きを担っていたという。今回は117人の2回分の計234回分が架空請求だった。情報提供があり、県警が捜査を進めていた。

 昨年1月ごろから今年1月ごろまでの約13カ月で架空請求などを含む不正請求の総額は7千万円以上になるとみられ県警が余罪を調べている。

 県は今年3月10日、虚偽の報告を行い補助金の交付を受けたり、調査に虚偽の説明を繰り返したとして、同社の事業者登録を取り消していた。

 逮捕を受けて県感染症対策課は「不正受給された補助金については調査を行い、返還を求めている」とのコメントを発表した。

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