犬の『呼吸』がいつもより変…?危険な病気の可能性や考えられる3つの原因

1.病気が隠れている

わんこの呼吸に異常があるとき、最も可能性が高いのは呼吸器系の疾患です。特に下記のような疾患の可能性に注意が必要です。

1.気管虚脱

加齢や肥満、外圧などによって気管を形成している軟骨が潰れ、気管が扁平形になってしまう疾患です。

気管内の空気の通りが悪くなるため呼吸が荒くなったり、ゼエゼエという咳をしたりするのが特徴として挙げられます。これらの症状は、特に暑い季節や興奮したり、激しい運動をしたときに顕著になることが知られています。

2.肺水腫

肺の中に水が溜まることで肺がむくみ、酸素と二酸化炭素の交換が上手くできなくなる疾患です。

肺水腫を単独で発症することは極めて稀で、多くは他の疾患が原因で発症します。軽症の場合は咳や運動後に息が荒くなる程度ですが、重症化するとよだれを流し、口を開けたまま呼吸をするといったような激しい呼吸困難に陥ります。チアノーゼを起こすことも非常に多く、命にかかわる病気です。

3.ケンネルコフ

空咳のような乾燥した咳を繰り返す場合には、ケンネルコフという伝染性の気管炎の可能性があります。

名前の意味は「犬舎の咳」で、その名の通り、わんこが多く集まる環境で感染力が高まると言われています。特に免疫力が下がっている子や、シニア期のわんこ、パピーなどは肺炎に移行しやすいため注意が必要です。

4.イヌジステンパー

呼吸に異常があるとどうしても呼吸器系の疾患を疑いたくなりますが、ウイルスや寄生虫による感染症の場合にも、呼吸や咳に異常が現れることがあります。

その代表例がイヌジステンパー。混合ワクチンで予防している方がほとんどとは思いますが、急性で感染力が強いうえ、死亡率も高い恐ろしい疾患です。

2.ケガをしている

「呼吸」と外傷に因果関係があるのは意外かもしれませんが、実はケガが原因となっている場合もあります。例えば、犬とけんかをしてしまい胸部をかまれた、交通事故、落下などの激しいけがの場合胸腔内に影響が及ぶ場合があります。このようなケガが原因で呼吸に異常が生じている場合には、緊急性が高いため注意が必要です。

通常、鼻の孔がヒクヒク動くような呼吸はしませんが、呼吸が苦しい時には鼻の孔が動く鼻翼呼吸をすることがあります。それと同時に浅く早い呼吸になることがほとんどです。酸素吸入が必要なケースが多いですので、急いで動物病院で診てもらいましょう。

3.先天的な異常が悪化した

シーズーやパグ、フレンチブルドッグなどいわゆる「ブサカワ」な短頭種のわんこは、そのマズルの短さゆえに短頭種気道症候群という先天的な形成異常を持っています。

そのため短頭種のわんこは普段から息づかいが荒かったり、いびきをよく掻いたりしがちなのですが、加齢に伴ってこれらの異常は悪化していきます。

息づかいが今までよりも苦しそう、いびきがより大きくなったなどの変化に気づいたら早めの処置が必要です。

まとめ

いかがでしたでしょうか?激しい運動をした後や、飼い主さんのお出迎えなどで激しく興奮した後、一時的に呼吸が荒くなったり咳が出たりする分には大きな心配はいりません。

ですが何でもないときや、安静にしているときに呼吸がおかしいと感じる場合には、今回ご紹介したような原因が隠れているかもしれません。少しでも異常を感じたら、動物病院に相談することをオススメします。

(獣医師監修:平松育子)

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