水銀排出の樋門撤去を市民に説明 水俣市、現場保存求める声

「百間排水口」=20日午後、熊本県水俣市

 熊本県水俣市は20日、水俣病の原因企業チッソ(東京)がメチル水銀を含む有毒な工業排水を流した「百間排水口」の樋門の撤去工事に関し、市民向け説明会を開いた。百間排水口は「水俣病の原点の地」とされ、水俣病患者団体は現場保存を求めた。

 市は、樋門の木製ゲート4基などが撤去対象で、排水口は残ると説明。腐食が進んでおり、崩落して下流に被害が出る恐れを指摘した。7月末までに工事を終える方針は変えず、撤去したゲートを団体に提供する考えも示した。

 これに対し、胎児性水俣病患者らを支援してきた加藤タケ子さん(72)は「毒水を止められなかった私たちの愚かさを見せてくれるのは百間口しかない」と反対した。

© 一般社団法人共同通信社