<レスリング>【2023年明治杯全日本選抜選手権・特集】優勝選手の声(男子グレコローマン)

 

(2023年6月15~18日、東京・東京体育館)


 ■55kg級・尾西大河(早大=全日本選手権の2位をはね返す優勝)「12月、決勝で負けて落ち込み、考え直すきっかけとなりました。早稲田大学の先輩や後輩、同期が支えてくれ、頑張ることができました。自分一人の力で優勝できたわけではありません。指導してくださるコーチや、所属は違いますがマンツーマンで(グレコローマンを)指導していただいている青山学院大の長谷川恒平監督など多くの方々に感謝したい。

 もっと上のレベルで勝つにはまだまだです。これからもスタンド、グラウンドとも伸ばしていきたい。12月は落ち着いて試合に臨めなかった。今回は冷静に、平常心で臨めました。(4月の)アジア選手権は完敗だった。プレーオフで勝って、世界選手権では勝てるようにしたい」


 ■60kg級・河名真偉斗(自衛隊=全国大会無冠の高校時代から全日本2位に駆け上がり、今回優勝)「文田(健一郎)選手が欠場という中で、絶対に優勝して、プレーオフで文田選手と闘うことを目標にしてやってきた。(決勝の)第2ピリオドに逆転されてしまいましたが、最後まで自分のレスリングを貫き通せたことがよかった。この大会で優勝できなかったら、オリンピックは厳しいと思って、この大会にかけてきた。

 この優勝は世界選手権へ向けてのスタート。自分の兄も文田選手に勝てずにオリンピックの夢はかなわなかった。兄や家族の分も含めて頑張りたい。小さい頃から文田選手を見てきて尊敬しているけど、勝たなければならない。プレーオフで勝って、世界選手権に出場して、(3位に入って)オリンピックの内定を勝ち取りたい」


 ■63kg級・池田龍斗(a.c.wals=全日本選手権決勝で負けた相手にリベンジして2連覇)「決勝の相手は何度も闘っている母校の後輩です、決勝の舞台で勝てたのはよかった。今、オーストリアでジュニア選手のコーチをしています。環境が変わればやることは変わりますが、YouTubeなどがあるので、いろいろ研究して正しいことを見つけ出せると思います。勝ったので自分のやってきたことは正しかったのだと思います。

 今後は、ウエートトレーニングを重点的にやりたい。去年までもやっていましたが、今年はそこに重きを置きたい。外国在住者として、人間としても成長していきたいし、多くの人に(外国の文化などを)広めたい。それがボクの使命だと思っています。プレーオフでも頑張って、世界選手権に出て勝ちたい。ダンケシェン! ドイツ語です」


 ■67kg級・遠藤功章(東和エンジニアリング=全日本選手権決勝で負けた相手にリベンジして優勝)「全日本選手権で負けて、それから悔しい期間が続いた。ここで負けたら終わりだと思い、冬の間、死に物狂いでやってきた。その結果が出てよかった。決勝はいい形を出せなかったけど、グラウンドの練習を重い階級の選手を相手にするなどして、必死にやってきたことがよかったと思う。

 半年間、技術の面もですが、気持ちも大事にしてやってきた。(得意な)リフトは対策されていることを感じた。同じパターンしかできなかったので、ステップを変えるとか違う形でできるようにしている。プレーオフは京太郎も死ぬ気に来ると思う。自分も死ぬ気に取りにいく」


 ■72kg級・原田真吾(ソネット=学生二冠王者を破り、無名の高校時代から明治杯の王者へはい上がる)「うれしい、の一言です。自分の持ち味の俵返しが全試合でうまくできた。練習してきた技なので、自信はあった。けがをして4年生の最後は試合に出られなかった。今回やっと出られて、優勝できてホッとしています。プレーオフで勝って、世界選手権へ出場することが直近の目標。新しい技を今から身につけるのは難しいので、得意な技を少ない時間でしっかり磨いていきたい」


 ■77kg級・日下尚(三恵海運=決勝で東京オリンピック銅メダリストの屋比久翔平を破って初優勝)「勝因はグラウンドで点が取れたことですね。練習では常に自分が(屋比久に)当たりに行く立場ですが、ポイントを取れないことが多い。今回はグラウンドの展開で先制できたことが勝因につながったと思います。翔平先輩との試合は2回目ですが、練習では毎日のようにやっています。

 東京オリンピックのときもパートナーとして直前まで一緒に練習させてもらい、ずっとサポートさせてもらいました。いろいろなことを見せてもらった先輩ですけど、いつまでも追う立場ではダメ。今回勝てたことは大きい出来事だと思います」


 ■82kg級・岡嶋勇也(警視庁=拓大の同期生対決を制して2年連続優勝)「優勝できてよかったです。けがからの復帰で心配なところもあった。決勝はローリングで相手に立たれてしまったけど、1、2回戦は自分のレスリングができたと思っています。決勝は(拓大の)同級生対決で、ちょっと緊張して空回りしてしまったところがありました。プレーオフで世界選手権の代表になれるようしっかり練習したい。(相手との距離を)詰めて攻撃し、ローリングで返し、守って勝つ自分のレスリングを心がけたい」


 ■87kg級・阪部創(自衛隊=何度も闘っている角雅人との同門決勝戦を制す)「優勝するためにいろんな準備をしてきた。練習のほか、メンタルの先生に相談するなどして、優勝する、という気持ちを強く持てたことがよかったと思う。メンタルトレーニングは6年くらい前からやっているけど、なかなか優勝できなかった。いい報告ができます。決勝は全然ダメだったのですが、グラウンドでポイントをやらない、ということができたのはよかった。プレーオフに勝てば世界選手権なので、いいコンディションで臨みたい」


 ■97kg級・奈良勇太(警視庁=若手成長株を破って優勝し、世界選手権代表に返り咲く)「最初に2点を取られて正直ヤバイと思った。でも、グラウンドを守れて、後半にチャンスがあると思った。代表に内定してホッとしています。今の目標はパリです。

 東京オリンピックに出たくて、死にもの狂いでやったけど、出られなくて悔しい思いをした。そのあと国内でも負けてしまったり、不安定な部分もあったりしたけど、最近はしっかりしてきたと思います。去年、結婚して新しい環境になりました。妻がアスリートフードマスターの資格を取って、普段から脂肪がつかないようなメニューを作ってくれていることもすごく助かっています」


 ■130kg級・奥村総太(自衛隊=全日本選手権に続いて優勝し、世界選手権初出場を決める)「スタンドで先に攻めていないことと、グラウンドで返せないという部分を課題として実感しています。ただ、差して前に出る、相手が攻めてきたら崩す、といういつもの動きができたことはよかったです。自衛隊に進み、多くの先輩に教えてもらい、試合前にアドバイスをもらえて、それが勝利につながりました。世界選手権の出場が決まったので、世界で闘えることをしっかり見せて、出場枠を取りたい。出る以上は金メダルを取りたい」

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