徳島県立池田高校野球部を率い、「攻めダルマ」の異名で春夏の甲子園を3度制覇した故蔦文也さんの野球ノートが、同県三好市の実家でこのほど見つかった。
1974年春、部員11人で準優勝する快進撃で「さわやかイレブン」と呼ばれ全国的な話題となった選抜大会で、試合に臨む心構えなどをしたためている。筋力トレーニングを基に金属バットでの破壊的な打力を身につけさせ、守り主体だった高校野球を変えたと言われる名将。その信念がうかがえるノートに、関係者から「貴重な資料だ」との声が上がっている。
6月初旬に三好市内の旧家の町並みでイベントがあり、その準備をしていた蔦さんの親族が遺品を収めた箱から、茶色い表紙のノートを見つけた。イベントの際には、実家で展示された。
中には各チームの戦力記事が貼られ、あるページには「監督の姿勢が子にひびく どっしりと」と自らに言い聞かせるように大書されていた。予想される対戦相手のキーマンと思われる選手の特徴などとともに、複数のページに「無欲」と記し、浮足立たないよう自戒する姿勢がうかがえる。