【Insights4オンコロジー】今週のオンコロジー関連ニュースのまとめ

[vc_row][vc_column][vc_column_text]【会員向け記事】今週オンコロジー領域で世界で発表された製薬関連ニュースをまとめてお知らせいたします。この記事の閲覧はInsights4オンコロジーの会員登録が必要です。[/vc_column_text][vc_row_inner][vc_column_inner][vc_column_text]

目次

血液腫瘍

4SC社がHDACクラスI阻害剤断念~リンパ腫治療HDACクラスI/IIb/IV阻害剤に専念

2022/2/3

経口のHDACクラス1選択的阻害剤domatinostat(ドマチノスタット)の開発をドイツの4SC社が中止し、別のHDAC阻害剤resminostat(レスミノスタット)による癌治療の開発に専念します。臨床試験の結果からdomatinostatは取るに足る価値はなさそうとの判断により開発中止が決まりました。

これから同社が専念する経口のHDACクラスI/IIb/IV阻害剤resminostatは皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)への大一番(ピボタル)試験が進行中であり、その結果は来年2023年に判明します。

4SC AG – Discontinuation Domatinostat Program / 4SC AG

BiogenがRocheの承認申請完了間近のリンパ腫治療二重特異性抗体に携わる

2022/2/2

BiogenがRoche子会社Genentechに3000万ドルを払い、CD20xCD3二重特異性抗体mosunetuzumab(モスネツズマブ)の開発や販売に携わります。

再発/治療抵抗性(r/r)濾胞性リンパ腫(FL)患者へのPh1/2(GO29781)試験結果を後ろ盾としてGenentechは米国FDAへの同剤の承認申請を近々済ませる予定です。Biogenはオプション行使料3000万ドルに加えて去年の同剤の開発費の幾らかを支払います。

Genentechが同剤の今後を引き続き率いますが、Biogenは同剤の開発や販売の意思決定に携われるようになります。Biogenは米国での同剤の損益の多ければ30%中頃を共有し、米国外での売り上げに応じた歩合を得ることができます。

Biogen Exercises Option to Participate in the Development and Commercialization of a Late-Stage Bispecific Antibody / GLOBE NEWSWIRE

FDA承認審査段階のTG社の白血病/リンパ腫治療の試験幾つかをFDAが差し止め

2022/1/29

慢性リンパ性白血病(CLL)の第3相試験(UNITY-CLL)で生存悪化が危惧されているTG Therapeutics社の2剤・抗CD20抗体ublituximab(ウブリツキシマブ)とPI3Kδ-CK1ε阻害剤Ukoniq(ウコニク;umbralisib、ウムブラリシブ)併用(U2)の試験幾つかへの新たな被験者組み入れを米国FDAが差し止めました。

TG社はどの試験が差し止められたのかを明らかにしていませんが、差し止められた試験の殆どは既に被験者組み入れが終わっているか同社の都合で停止されています。

U2は慢性リンパ性白血病(CLL)/小リンパ球性リンパ腫(SLL)の治療として米国FDAに既に承認申請され、昨春5月に受理されています。その承認申請を検討するFDA諮問委員会が間もなく今春3-4月に開催されます。

FORM 8-K / SEC

マイクロRNA・miR-31-5pの回復で白血病幹細胞で駆除しうる

2022/1/28

マイクロRNA・miR-31-5pを失った造血幹細胞(HSC)はフマル酸増加に促されて白血病幹細胞(LSC)に豹変すると分かり、miR-31-5pの回復はLSCを駆除してマウスの急性骨髄性白血病(AML)進展を阻止しました。miR-31-5p投与は白血病治療手段となりそうです。

Loss of miR-31-5p drives hematopoietic stem cell malignant transformation and restoration eliminates leukemia stem cells in mice. Science Translational Medicine. 26 Jan 2022

血液癌へのGileadの抗CD47抗体とazacitidineの併用試験を米国FDAが差し止め

2022/1/26

想定外の深刻な有害事象の懸念を受け、骨髄異形成症候群(MDS)や白血病等へのGilead Sciencesの抗CD47抗体magrolimab(マグロリマブ)とazacitidine(アザシチジン)併用の試験一揃いを米国FDAが差し止めました。

それら試験の被験者選定や組み入れが停止されます。ただし、既に試験に参加している被験者はmagrolimabとazacitidine併用を続けることができます。azacitidineとの併用以外のmagrolimab試験はこれまで通り続けられます。

Gilead Announces Partial Clinical Hold for Studies Evaluating Magrolimab in Combination With Azacitidine / BUSINESS WIRE

Oncopeptides社が骨髄腫薬Pepaxto米国承認の取り下げを撤回

2022/1/25

Oncopeptides社が心変わりして骨髄腫薬Pepaxto(melphalan flufenamide)の米国での承認の取り下げを撤回しました。

第3相試験OCEANで同剤治療群の死亡率がより高いことが示されたことを受けてOncopeptides社は去年10月に販売中止を決めました。

そのOCEAN試験やその他の試験の更なる検討を受けて同社は心変わりして承認取り下げを撤回することにしました。ただし同社は今のところ米国で同剤を販売するつもりはなく、まずは新たなデータ検討のための話し合いをFDAと始めています。

Oncopeptides rescinds voluntary withdrawal of Pepaxto in the US – no intent to market in the US at this time / PRNewswire
https://www.prnewswire.com/news-releases/oncopeptides-rescinds-voluntary-withdrawal-of-pepaxto-in-the-us–no-intent-to-market-in-the-us-at-this-time-301465998.html

ギリアドのマグロリマブ併用投与の血液腫瘍対象の試験をFDAが一部保留を決定

2022/1/25

ギリアド・サイエンシズ社は1月25日火曜日、抗CD47抗体マグロリマブとアザシチジンの併用療法の試験について、試験者報告の予期せぬ重篤な有害反応(SUSAR)が試験群間で「明らかに不均衡」であるとして、FDAが臨床試験を一部保留したと発表した。同社は2020年にForty Seven社を49億ドルで買収した際に、この治験薬を取得しています。

ギリアド社は、これまでのところ「副作用の明確な傾向や新たな安全性シグナルは確認されていない」としながらも、「FDAが提起した懸念に対応するため、追加データの収集と分析が行われる中、世界中で進行中のマグロリマブとアザシチジンの併用試験すべてにおいて臨床試験の一部保留された」と述べている。

部分的保留の影響を受ける第III相試験には、骨髄異形成症候群(MDS)を対象としたENHANCE、TP53変異急性骨髄性白血病(AML)患者を対象としたENHANCE-2、未適応AMLを対象としたENHANCE-3が含まれています。また、今回の規制措置は、MDSを対象としたフェーズIb試験および骨髄性悪性腫瘍を対象としたフェーズII試験のアザシチジン併用療法コホートにも影響を及ぼします。

買収前の2019年、Forty Seven社は米国血液学会(ASH)で、マグロリマブのプライミング投与を受け、その後アザシチジンの全量投与とマグロリマブの週1回の維持投与を受けた高リスクのMDS患者24人のうち、全奏効率が92%であったことを示す第Ⅰb試験の結果を発表しました。当時、この併用療法は忍容性が高く、アザシチジン単独療法と比較して毒性が増加したという証拠はなかったと述べています。一部保留期間中、新規試験参加者のスクリーニングおよび登録は一時停止されますが、既に該当する試験に登録されている患者さんは、引き続き厳重な監視を受けながら、マグロリマブとアザシチジン、またはプラセボの投与を継続することが可能です。なお、併用療法を実施していない他のマグロリマブ試験やコホートについては、今回のFDAの措置による影響はありません。

ギリアド社によると、マグロリマブ(旧製品名:Hu5F9-G4)は、ファーストインクラスのモノクローナル抗体で、腫瘍細胞上のCD47とマクロファージ上のその結合パートナーであるSIRPαの間の認識を阻害する可能性があるとのことです。この薬剤は、固形癌だけでなく、いくつかの血液癌を対象として開発されています。

一方、ファイザーは昨年、トリリウム・セラピューティクスを約23億ドルで買収し、同じくSIRPα-CD47軸を阻害する後者の2つのリード分子、TTI-622とTTI-621を加えて、癌領域のパイプラインを強化しています。

Gilead Announces Partial Clinical Hold for Studies Evaluating Magrolimab in Combination With Azacitidine

成人白血病(ALL)造血幹細胞移植後の生存率の改善続く-20年間研究

2022/1/12

フィラデルフィア染色体を持つ急性リンパ芽球性白血病(ALL)患者において、同種造血幹細胞移植(HCT)後に再発を認めた患者の2年間の全生存率が、2000~2004年と2015~2019年の比較でほぼ2倍に増加していることが、米国がん学会発行の「Clinical Cancer Research」誌にて発表された。

「フィラデルフィア染色体を持つALL患者さんは移植後に最大30%が再発を来します。先行研究によれば、このような患者さんは長期生存の見込みが低いことがわかっています」。筆頭著者兼責任著者であり、ベイルート・アメリカン大学の内科学教授、基礎研究の副学部長、Bone Marrow Transplantation Program(骨髄移植プログラム)のディレクターを務めるAli Bazarbachi医学博士はそう語る。「とはいえ、近年、こうした患者さんに対する新たな治療法が複数承認されていることを受け、過去20年間の異なる期間でそれぞれの治療成績を検討し比較することが必要でした」。

ALLは血液腫瘍のなかでも悪性度が高い。フィラデルフィア染色体は、成人ALL症例の約30%にみられる反復性遺伝子異常であり、この染色体が陽性(Ph+)の場合、予後は悪くなる。同種造血幹細胞移植とは、白血病細胞を死滅させるため、放射線治療や高用量の化学療法の前治療歴がある患者に健康なドナーから血液幹細胞を移植する治療法である。造血幹細胞移植はフィラデルフィア染色体陽性ALL患者、特に治療後も体内に微量のがん細胞が残る微小残存病変(MRD)が検出された患者にとって、治癒効果が見込まれる選択肢と考えられている。

しかしながら、一部の症例では、残存する白血病細胞が移植免疫細胞により誘導されるがん免疫応答を逃れ、増殖することがある。移植後のがん再発は多くの患者にみられ、依然として同種造血幹細胞移植が不成功に終わる主な要因となっている。

Survival Rate of Adult Patients With Relapsed Acute Lymphoblastic Leukemia After Hematopoietic Cell Transplantation Has Steadily Increased Over the Past Two Decades
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消化器がん

BMSのOpdivoによる食道癌初治療の生存が化学療法に2か月ほど勝ったPh3論文

2022/2/3

Bristol-Myers Squibb(BMS)の抗PD-1薬Opdivo(オプジーボ;nivolumab)と化学療法の併用か抗CTLA-4抗体Yervoy(ヤーボイ;ipilimumab)の併用による進行食道扁平上皮癌の初治療の全生存(OS)が化学療法のみに勝った第3相試験(CheckMate -648)結果が論文報告されました。

Opdivo+化学療法とOpdivo+YervoyのOS中央値は先立つ発表の通りどちらもおよそ13か月であり、化学療法のOS中央値約11か月を2か月ほど上回りました。

Nivolumab Combination Therapy in Advanced Esophageal Squamous-Cell Carcinoma. NEJM. February 3, 2022

膵癌Ph2/3試験でTYME社の偽チロシン薬SM-88無効~標準治療より生存悪化

2022/1/27

膵癌に効きそうな治療幾つかをまとめて調べている第2/3相試験Precision PromiseでTYME Technologies社のチロシンのまがい物SM-88(racemetyrosine)が無益とわかって脱落しました。

SM-88治療群はいつもの化学療法に比べて生存率が残念ながら低めでした。SM-88はそれをうっかりチロシンと勘違いして取り込んでしまった癌細胞のタンパク質合成を妨害して酸化ストレス関連の細胞死を誘発することを目当てとします。

TYME Technologies, Inc. Provides Update on Precision Promise Trial in Metastatic Pancreatic Cancer / BUSINESS WIRE

AstraZenecaの胆道癌初治療Ph3生存結果報告でPCI Biotech社のPh2試験が倒れた

2022/1/26

AstraZenecaの抗PD-L1抗体Imfinzi(イミフィンジ、durvalumab)の胆道癌初治療が1か月強の生存改善をもたらした第3相試験TOPAZ-1結果報告を受けてノルウェーのPCI Biotech社の抗癌剤細胞内取り込み促進剤fimaporfin(フィマポルフィン)の同じ用途の第2相試験RELEASEが中止に追い込まれました。TOPAZ-1の結果発表によりRELEASE試験の完遂は覚束なくなったことなどを受けて中止が決まりました。

PCI Treatment/Gemcitabine & Chemotherapy vs Chemotherapy Alone in Patients With Inoperable Extrahepatic Bile Duct Cancer (RELEASE). ClinicalTrials.gov Identifier: NCT04099888

固形癌のNグリカンを減らすことでCAR-Tの効果を高めうる

2022/1/24

Nグリカンが多い癌にキメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)は効き難く、Nグリカンの合成を阻害する2DGは腫瘍細胞を覆うNグリカンをどけてマウス膵癌へのCAR-T効果を高めました。2DGはPD-1とPD-L1の絡みを妨害し、腫瘍に集まったCAR Tの疲弊を減らす効果もありました。

Disrupting N-glycan expression on tumor cells boosts chimeric antigen receptor T cell efficacy against solid malignancies. Science Translational Medicine. 19 Jan 2022

ASCO消化器がんシンポジウム2022ハイライト:胆道がん、肝細胞がんに対する免疫療法薬

2022/12/23

米国臨床腫瘍学会(ASCO)消化器がんシンポジウム2022の公式プレスプログラムでは、胆道がんおよび肝細胞がん患者を対象にした免疫療法薬の併用療法に関する知見が注目される。プレスプログラムで紹介される研究は、シンポジウムで発表される650本以上のアブストラクトの一部である。

ASCO消化器がんシンポジウム2022は、1月20〜22日にカリフォルニア州サンフランシスコおよびオンラインで開催され、世界中のがん専門家が集まり、消化器がんの治療、研究、ケアに関して診療を変える知見を中心にプレゼンテーションや議論が交わされる。

進行胆道がん(BTC)患者を対象としてゲムシタビン+シスプラチン(GemCis)を併用するデュルバルマブ(販売名:イミフィンジ)投与に関する第3相ランダム化二重盲検プラセボ対照試験:TOPAZ-1。(アブストラクト 378)切除不能な肝細胞がん(uHCC))患者を対象にした一次治療としてのトレメリムマブ(T)+デュルバルマブ(D)(販売名:イミフィンジ)投与に関する第3相ランダム化非盲検多施設共同試験:HIMALAYA。(アブストラクト379)

Research on Immunotherapy Treatments for Biliary Tract Cancer, Hepatocellular Carcinoma to be Highlighted in 2022 ASCO Gastrointestinal Cancers Symposium Press Program

婦人科がん

アセチル化リジン認識因子CECR2の阻害で乳癌転移を阻止しうる

2022/2/3

アセチル化リジンを認識するブロモドメインを有するCECR2が3受容体陰性乳癌(TNBC)の転移に寄与しており、CECR2阻害で乳癌転移を阻止しうることがマウス実験で示されました。

CECR2はM2マクロファージを増やし、CECR2ブロモドメインの阻害はマクロファージによるNF-κB関与免疫抑制(NF-κB-mediated immune suppression)を阻害して乳癌転移を阻止しました。

Yale Cancer Center Study Explores New Path to Treat Advanced Triple-Negative Breast Cancer / Yale University

CECR2 drives breast cancer metastasis by promoting NF-κB signaling and macrophage-mediated immune suppression. Science Translational Medicine. 2 Feb 2022

進行子宮頸癌へのLibtayo使用の米国FDA承認申請をSanofi/Regeneronが取り下げ

2022/1/29

子宮頸癌患者の2回目の治療での抗PD-1抗体Libtayo (リブタヨ;cemiplimab、セミプリマブ) 使用の米国承認申請をSanofi/Regeneronが取り下げました。

承認後の試験について米国FDAと折り合いがつかなかったことを受けて両社は申請取り下げを決めました。

Regeneron and Sanofi Provide Regulatory Update on Libtayo? (cemiplimab-rwlc) in Advanced Cervical Cancer / PRNewswire

サノフィとリジェネロン、子宮頸がん対象のLibtayoのFDA申請を取り消し

2022/1/28

サノフィとリジェネロンは、進行性子宮頸がんのセカンドライン治療薬としてLibtayo(cemiplimab-rwlc)のFDA拡大承認を求める申請を自主的に取り下げたと、28日金曜日に発表しました。両社は、市販後の特定の試験についてFDAと「足並みをそろえることができなかった」ため、このような決定を下したと説明しています。

昨年の欧州腫瘍学会(ESMO)では、全試験対象者において、Libtayoは死亡リスクを31%低減し、扁平上皮がんでは死亡リスクを27%低減させることを発表しています。また、Libtayoによる治療は、化学療法と比較して、無増悪生存期間および客観的奏効率も有意に改善することが示されていました。

昨年9月、FDAは子宮頸がんの申請を受理し、1月30日を審査目標日とする優先審査権を付与しました。本申請は、PD-L1の発現状況に関わらず患者を登録し、プラチナ製剤による化学療法で進行した再発・転移性子宮頸がん患者を対象に、Libtayo単剤と医師が選択した化学療法を比較検討した第III相EMPOWER-Cervical 1試験の結果によって支えられています。

両社は詳細を明らかにしていませんが、米国以外の規制当局との協議が進行中であることを付け加えています。Libtayoは、PD-1を標的とする完全ヒト型モノクローナル抗体で、進行性基底細胞がん、進行性皮膚扁平上皮がん、進行性非小細胞肺がんの一部の患者に対して既にFDAから承認されています。

Regeneron and Sanofi Provide Regulatory Update on Libtayo® (cemiplimab-rwlc) in Advanced Cervical Cancer

バルスチリマブ+ザリフレリマブ併用は進行子宮頸がん治療に有効

2022/1/5

新たな免疫療法薬2剤の併用は、再発または進行子宮頸がんに罹患する女性に有効な新たな治療選択肢となる可能性があることが、オハイオ州立大学総合がんセンターのアーサー・G・ジェームズがん病院およびリチャード・J・ソロブ研究所(OSUCCC-James)の研究者ら主導による多施設共同第2相臨床試験の結果で明らかになった。

本試験は、再発/転移性子宮頸がんの女性を対象に、PD-1阻害薬balstilimab[バルスチリマブ]およびCTLA-4阻害薬zalifrelimab[ザリフレリマブ]の併用療法を検証した過去最大の臨床試験である。奏効率は26%(対象患者全員)であり、その中で完全奏効に達した患者は8%であり、また、PD-L1陽性患者における奏効率は32.8%であり、いずれも予想した奏効率の2倍であったと研究者らは報告する。

Targeted two-drug therapy effective to treat advanced cervical cancer

ウェールズが子宮頸がん検診の間隔を5年に延長ーその理由は?

2022/1/7

英国国立検診委員会(UK National Screening Committee)の推奨に沿ったこの変更は、子宮頸部を有する25〜64歳の女性はすべて、5年に1回子宮頸がん検診を受けることを勧めています。これは、25〜49歳の女性は3年に1回、50〜64歳の女性は5年に1回子宮頸がん検診を受けることを勧めるこれまでの推奨と異なります。

この決定は大きな話題となり、検診間隔が長くなることで子宮頸がんの見落としにつながるのではないかと心配する声が多く聞かれました。しかし、この変更にはもっと深い意味があるのです。

子宮頸がん検診に用いられる検査法が変更されたため、検診間隔を3年から5年に延長することが推奨されています。新たな検査法は、子宮頸がんの発症リスクの高い人を、子宮頸がん検診に使用されていた従来の検査法よりも高い精度で検出します。つまり、リスクの高くない人にとって安全に、現行の検診間隔を延長することができるのです。

Cervical screening in Wales extended to every 5 years: Why the switch?

癌腫共通

道草しないIL-18薬による癌治療のPh1を始めたSimcha社が4000万ドル調達

2022/1/28

サイトカインIL-18の抗癌作用を妨げるいわばおとりの受容体IL-18BPに捕まることなくIL-18受容体にたどり着いて癌を治療する寄り道しないIL-18薬・ST-067を開発するSimcha Therapeutics社が4000万ドルを調達し、同剤の第1/2相試験を開始しました。試験では固形癌各種へのST-067投与の安全性や活性が調べられます。

Simcha Therapeutics Raises $40 Million Series B Financing and Initiates Phase 1/2 Study to Evaluate Novel Interleukin-18 Variant in Cancer / GLOBE NEWSWIRE

関節リウマチ患者のJAK阻害剤tofacitinib治療で心血管一大事や癌がより多く発生

2022/1/27

喫煙や高血圧などの心血管の危険因子を少なくとも1つ有する50歳以上の関節リウマチ(RA)患者のJAK阻害剤Xeljanz (ゼルヤンツ;tofacitinib、トファシチニブ)治療で心血管一大事(心血管が原因の死亡、心筋梗塞、脳卒中)や癌がTNF阻害剤より多く生じました。日和見感染や帯状疱疹もXeljanz治療群の方がより多く生じました。

Cardiovascular and Cancer Risk with Tofacitinib in Rheumatoid Arthritis. NEJM. January 27, 2022

がん患者のワクチン追加接種はオミクロン株への予防効果が高い

2022/12/30

がん患者へのワクチンの追加接種は、SARS-CoV-2(COVID-19を引き起こすウイルス)および感染力が強い最新の変異株オミクロン株に対し、著しく強力かつ広範な予防効果があることが新たなデータで示された。この予防効果は、治療状況にかかわらず、固形がん患者で一貫している。

オハイオ州立大学獣医学部およびオハイオ州立大学総合がんセンターアーサー・G・ジェームズがん病院、リチャード・J・ソロブ研究所(OSUCCC-James)は、COVID-19に対するmRNAワクチンの2 回接種は、免疫不全の患者の予防効果を持続させるには「全く不十分」であることを報告した。また、がん患者に対し、接種可能になり次第すぐに追加接種を受けるよう呼びかけている。

「世界中で進行中のパンデミックが3年目に入り、脆弱ながん患者を守るために、これは今後のワクチン接種戦略の指針となる重要かつ新たな知見です」と、本研究共同著者3人の一人であるZihai Li博医師は述べている。Li医師は、OSUCCC-JamesのPelotonia Institute for Immuno-Oncology の統括責任者およびオハイオ州立大学医学部の教授でもある。

「これは、免疫力が低下した患者集団において新型コロナウイルスのワクチン接種が緊急の重要課題であることをさらに裏付けるものです」と、共同上席著者でOSUCCC-James副所長兼医学部教授のPeter Shields医師は述べている。

本研究の筆頭著者のShan-Lu Liu医師は、「この結果は、がん患者にとって特に重要であるだけでなく、すべての人々が適時にこぞってワクチン接種を受けることの重要性を一層強調するものです」と述べている。Liu医師は、獣医学バイオサイエンス学部ウイルス学の教授およびオハイオ州立レトロウイルス研究センターの副所長でもある。

本研究結果は、12月29日付の「Cancer Cell」誌オンライン版で発表された(本誌より先行)。

New data: COVID booster shots likely provide increased, broad protection against new Omicron variant in human patients with cancer

その他のがん

Immunocore社のぶどう膜黒色腫治療薬Kimmtrakを米国FDAが承認

2022/1/27

眼の癌・ぶどう膜黒色腫を治療するImmunocore社の糖タンパク質100(gp100)標的薬Kimmtrak(キムトラク;tebentafusp、テベンタフスプ)を米国FDAが承認しました。

Kimmtrakは米国FDAが承認した初の切除不能/転移性ぶどう膜黒色腫治療となりました。HLA-A*02:01陽性のぶどう膜黒色腫成人の治療に使えるようになります。

同剤は抗CD3エフェクター機能付きT細胞受容体であり、gp100抗原を発現する細胞へとT細胞を仕向けてそれらT細胞が腫瘍細胞を始末できるようにします。

Immunocore wins FDA nod for first uveal melanoma treatment, also first T-cell receptor therapeutic / FiercePharma

レラトリマブとニボルマブの併用が転移性メラノーマの無増悪生存期間を改善

2022/1/5

未治療の進行メラノーマ(悪性黒色腫)患者において、免疫チェックポイント阻害薬であるレラトリマブとニボルマブ(販売名:オプジーボ)の2剤併用療法は、ニボルマブ単独療法と比較して無増悪生存期間を2倍に延長し、安全性についても管理可能であることが、第2/3相RELATIVITY-047臨床試験によって明らかになった。この試験の結果は、2022年1月5日にテキサス大学MDアンダーソンがんセンターによってNew England Journal of Medicine誌で報告された。

無増悪生存期間の中央値は、併用療法群で10.1カ月、単剤療法群で4.6カ月だった。12カ月後の無増悪生存率は併用療法群47.7%、単剤療法群36%であり、病勢進行または死亡のリスクは併用療法群で25%低下した。併用療法の有用性は、事前に規定したサブグループすべてで確認され、その結果を踏まえて、米国食品医薬品局(FDA)は2021年9月に本併用療法に優先審査権を付与した。

「今回のグローバルな取り組みは、LAG-3経路を介した第3の免疫チェックポイント阻害薬の有用性を立証し、免疫療法の分野を前進させるものであり、これからの診療を変える可能性を持っています」と、筆頭著者でメラノーマ腫瘍内科教授であるHussein Tawbi医学博士は言う。「PD-1阻害薬とCTLA-4阻害薬の併用により、メラノーマ治療は過去10年間、歴史的な発展を遂げてきました。しかし、この併用療法は効果も高いですが、かなりの毒性も伴います。本試験はより効果的で安全な治療選択肢を提供する上で、重要かつ待望のステップとなるでしょう」。

Relatlimab plus nivolumab improves progression-free survival in metastatic melanoma
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