【中医協】保険者「過度な薬価差について突っ込んだ議論を」/有識者検討会の報告書受けて

【29023.06.21配信】厚生労働省は6月21日に中央社会保険医療協議会(中医協)薬価専門部会を開き、令和6年度の薬価改定のスケジュールや主な課題などについて議論した。この中で保険者側である1号委員の全国健康保険協会(協会けんぽ)理事長の安藤伸樹氏は「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」の報告書に関連して、過度な薬価差が発生する問題と薬価差の偏在の問題について「突っ込んだ議論が必要」との考えを表明した。

協会けんぽの安藤氏は安定供給問題に関連して次のように述べた。

「令和6年度の診療報酬改定や薬価改定におきましては、先般取りまとめられました医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会の報告書も踏まえて、医薬品業界の構造的課題等の根本的課題について丁寧な事議論を積み重ねていく必要があるというふうに認識しております。特に医薬品の安定供給の問題につきましては医薬品業界の構造的な課題に端を発するものであり、診療報酬上の評価に対する対応では問題の根本的な解決には繋がらないと考えております。したがって安定供給の実現には後発医薬品業界全体の改編、すなわち産業構造の見直しが必要であると考えております。そのため視野を広く持った上で建設的な議論ができるように事務局におかれましては余裕を持ったスケジュール調整をお願いしたいというふうに思います。今回の報告書に適切な医薬品流通に向けた取り組みが記載されております。その中には過度な価格競争により医薬品の価値が損なわれ安定供給に支障を生じさせる恐れがあるため、流通改善に関する懇談会等で検討のうえ流通改善ガイドラインを改訂して対処していくことが必要であるというふうに記載されております。また過度な薬価差の偏在の是正に向けた検討をすることも記載がございました。この薬価差の問題は社会保障制度の持続性という観点から見て、早急に取り組み、解決に向けた対策が必要ではないかと考えております。またこの過度な薬価差が発生する問題と薬価差の偏在の問題につきまして今後も突っ込んだ議論が必要であるというふうに考えております」

そのほか安藤氏はドラッグラグやドラッグロスの改善の必要性にも言及していた。

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