ダイヤモンド半導体 実用化目指す

スマートフォンや自動車などさまざまな産業に必要な「半導体」。札幌に「究極」と言われる半導体の実用化を目指すスタートアップがあります。

北大大学院の金子純一准教授は、放射線の計測が専門で、1995年から“ある”半導体の研究を始めました。材料に使っているのは、なんと「人工のダイヤモンド」です。金子准教授は「放射線に当たっても壊れないセンサーをつくりたいというところから(ダイヤモンド半導体の)研究が始まりました」と語ります。半導体の材料として主流なのは「シリコン」ですが、「ダイヤモンド」を使うと、理論上、高温・高電圧に対応できます。世界的にも実用化の例はありませんが、実現すれば「究極の半導体」とも言われています。

研究を推し進めたのは、東日本大震災、原発事故でした。金子准教授は福島第一原発の廃炉事業の国家プロジェクトに参画。作業に不可欠な放射線を検知するセンサーにダイヤモンドを使う研究を続けました。金子准教授は「福島(の廃炉作業)で働く人たちが使えるところまで持っていかないといけないので。それぞれのところ(過程)を研究している人はいるが、(高放射線環境で)使えるところ(製品化)までをやっているのは我々しかいない」と話します。およそ25年にわたる研究によって2021年にダイヤモンド半導体の試作品が完成。事業化のために、去年「大熊ダイヤモンドデバイス」を立ち上げ、今年度中のサンプル出荷を目指しています。

さらに、ダイヤモンド半導体が持つ強みは、宇宙や電気自動車などの分野でも役立つと言います。大熊ダイヤモンドデバイス(本社・札幌)の星川尚久社長は「一般的な半導体は150度で大体動かなくなってしまうが、ダイヤモンド製なら500度でも動作する。宇宙関係など特殊なニーズに対応できるようなものをつくりたいと思っている」と話しました。

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