3年前も来ていたバルタスロール 渋野日向子「期待しない分、冷静に」

「まさにメジャー。ムッズ」と笑ってしまう難コースに挑む(撮影/中野義昌)

◇海外女子メジャー◇KPMG全米女子プロゴルフ選手権 事前(21日)◇バルタスロールGC(ニュージャージー州)◇6621yd(パー71)

渋野日向子にとって、実は今週が2度目のバルタスロールGCになる。「私、3年前にここ来てるんですよ」。コロナ禍で10月開催となった2020年大会に挑戦した前週、同じニュージャージー州で開催される「ショップライトLPGAクラシック」にも出場。その渡米中、前年「AIG女子オープン(全英女子)」を制したことで参加したプロアマが、今週は使われない当地のアッパーコースで行われた。

そのことに気付いたのは、18日(日)に会場入りして選手用パーキングに着いてから。不思議な縁もある舞台でのメジャーが4月「JMイーグルLA選手権」以来の米ツアーとなり、「約1カ月ぶりの米ツアーがメジャーなので、かなり緊張感はあります」。国別対抗戦の「インターナショナルクラウン」を終えてから一時帰国し、日本ツアー2試合にスポット参戦。直近の試合「宮里藍サントリーレディス」からは、テンフィンガーグリップへと大胆なスタイルチェンジに踏み切った。

バルタスロールの死闘は「ちらっと聞いたことがあるような気がする」(撮影/中野義昌)

イン9ホールを回ったこの日、18番(パー5)で放った1Wショットは「一番良かった」とうなずいたように、理想的なドローボールが出た。一方、スイングで右手の力が勝ってしまいがちな部分も自覚しており、「体と連動できていない感じはある。『この動きができたら、このいいショットができる』というのがつかみ切れていない」と冷静に現状を捉えている。

2週後にも「全米女子オープン」が控えるなどメジャーが集中して照準を定めていた時期。「自分が立てていた1年間のプラン通りには行けていない。いい状態で臨みたかった部分もありますけど、それができなかったのは自分の管理不足、練習不足。そこはちょっと後悔があります」。素直に明かしつつ、痛みとの闘いを強いられる中で見つけたテンフィンガーグリップというトライが試合を戦っていくための最善策だとうなずく。「その(思い通りにいかない)中で、やっぱりやっていかないといけないので。いろいろ考えた結果のそういうこと(最善策)です」

2試合目のテンフィンガーグリップは「長い目で」(撮影/中野義昌)

4年前の全英を含め、何度もファンを魅了してきたメジャーの戦いを前に「期待しないで行こうと思います」と笑うのは、調整途上にある状態を踏まえた“自虐節”とも限らない。硬く仕上がったタフなグリーンに加え、距離のあるコースには連日雨まで降る予報。我慢が求められる展開を覚悟しているからこそ、「攻めなきゃいけないコースでもないですし、かなり難しいので、期待しない分、冷静になれるともいまは思っている。4日間戦えるように全力で頑張ります」。ラウンドを終えて向かった練習場での調整からも、難敵に立ち向かう気迫がにじんだ。(ニュージャージー州スプリングフィールド/亀山泰宏)

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