【推しの子】ED、女王蜂「メフィスト」が意味するものは。悪魔はアクアなのか?

様々な人気シリーズの続編や注目を集めるマンガ原作など、ビッグタイトルが満載の2023年春クールアニメ。激戦の今シーズンの中でも一際大きな話題を呼ぶ作品。それがアニメ『【推しの子】』です。

本作の最たる魅力は、視聴前後で作品の印象ががらりと変わる怒涛の展開。加えて今回のアニメ化に際し、映像演出や放送構成、そして豪華アーティストによるOP・EDなど。作品の魅力を120%引き出す工夫も満載となり、結果大勢のアニメ好きから注目を集める形になりました。

TVアニメ『推しの子』ティザービジュアル

今回はそんなアニメ『【推しの子】』について、物語を彩る主題歌を中心にその魅力を解説。YOASOBI&女王蜂という、近年もアニメ作品を数多く彩ってきた名アーティストたち。
それぞれが描いた【推しの子】の魅力や、楽曲の注目ポイントまで多角的に語っていきましょう。

※本記事はその性質上アニメの内容のネタバレを多少含みます

アイドル・アイを取り巻く怒涛のドラマ

物語のキーパーソンは、圧倒的カリスマ性で大勢を虜にするアイドル・アイ。

ですが、そんな彼女をある悲劇が襲います。アイの子である双子の兄妹・アクアとルビーは、たった4歳という幼さで母との別れを経験することになりました。
そこから10年以上の歳月が経ち、高校生となった二人。物語の本編は、彼らが成長した所から本格的に始まるのです。

CD『アイドル 』YOASOBI (SME)

本作がここまで注目を集めた理由のひとつが、視聴者の予想を大きく裏切る怒涛の展開でしょう。アニメ化に際し、初回の1話を異例の90分拡大放送で展開した点も話題を呼んだ本作。
どうしてこの形で放送するの?と思った方も多いでしょうが、おそらく1話視聴後は大半の人がその理由に納得したはずです。

このアニメ1話は物語本編の“前日譚“。このストーリーを息つく暇なく追う事で、本作の魅力は初めて最大限発揮されるのです。
先述の通り今作の本当の主人公は、絶対的アイドル・アイの双子の子どもたち。ずばり「推しの子」による物語が、この『【推しの子】』というわけですね。

OP曲:YOASOBI『アイドル』の巧みさ

そんなアニメ『【推しの子】』ですが、主題歌アーティスト陣の豪華さも話題を集めましたね。
まずOPとなった楽曲は、YOASOBI『アイドル』。タイトルの通りこの曲はずばり、物語の重要人物・アイを想起させる歌となっています。

デジタルミュージック『アイドル 』YOASOBI

YOASOBIの曲は基本的に小説を元に作られるという話も、今では有名な豆知識。今回『アイドル』の原典となったのは、原作・赤坂アカ先生の特別書き下ろし小説『45510』です。
アイドル・アイの知られざる一面が描かれたこの小説は、現在期間限定で週刊ヤングジャンプの特設サイトにて読めるようになっています。

アニメ『【推しの子】』主題歌としても相応しい、華やかなカリスマアイドルの歌である本曲。
ですが1話視聴後や小説『45510』を読んだ後、加えてテレビ放送ver.のみならずフルで聴く事でにハッとする人も多いはず。歌詞のなかにはアクアやルビーという言葉、そして嘘は愛(アイ)だ……など意味深な言葉まで織り込まれているのです。

また、アップテンポな盛り上がるアイドルソングを思わせる曲調から一転、嫉妬や妬みなど芸能界に渦巻くネガティブな感情から始まる2番。単なる“アイドルアニメ”ではないことを予感させる歌詞やメロディラインはYOASBI・ayaseさんの真骨頂ということろでしょうか。

楽曲から彩られるその世界観もチェックすることで、よりアニメ本編も楽しめることは間違いありません。

ED曲『メフィスト』は悪魔=アクアを指すのか

一方、EDの女王蜂『メフィスト』は、作品のダークな一面を前面に押し出した1曲です。
とある目的を成し遂げるために、1話終盤で芸能界入りを決意する双子の兄・アクア。彼が背負う使命や、アイ自身にも片鱗の見えていたアイドル・芸能界の闇や業を歌い上げたのが、ずばりこのED曲ともなっています。

CD『メフィスト』女王蜂(ソニー・ミュージックレーベルズ)

近年アニメでは1話ラストにOP曲を挿入し、ED曲は2話から使用する形式をよく見かけます。

アニメ『【推しの子】』も例に漏れずその形を取ったことで、アイの物語である1話を『アイドル』で飾り、物語本筋の内容を反映した『メフィスト』を話が動き始めた2話以降でお披露目するという、非常に統一感のある演出で作品を魅せています。

“メフィスト”は元々、伝説上の悪魔の名前。人間の望みを叶える代わり、死後その魂を貰う契約を取り交わす悪魔です。

一説には名前の由来を“光を愛さない者”とし、時に“七変化の悪魔”とも称されるメフィスト。

業の深い使命を背負い、役者の道を志したアクアをどことなく彷彿とさせる存在にも感じます。
果たして彼自身が悪魔なのか、あるいは悪魔に魅入られた側の存在なのか。その真相は……。

先の予測できない物語で魅せる

細部にわたる演出や作品の世界観をより深く落とし込んだ主題歌。それらに彩られ元々人気の原作から、『【推しの子】』はより一層魅力的なアニメとして放送が始まりました。

多くのマンガ&アニメ好きを魅了する力強いエネルギーを持つ本作。話題が話題を呼ぶことで、この機会にきっとさらなる注目作となることでしょう。衝撃の展開を繰り広げる物語。その先もぜひ見届けたい、そんな一作です。

(執筆:曽我美なつめ)

アニメ『【推しの子】』作品概要

<INTRODUCTION>
「この芸能界(せかい)において嘘は武器だ」
地方都市で働く産婦人科医・ゴロー。
ある日"推し"のアイドル「B小町」のアイが彼の前に現れた。
彼女はある禁断の秘密を抱えており…。
そんな二人の"最悪"の出会いから、運命が動き出していく―。
<STAFF>
原作:赤坂アカ×横槍メンゴ(集英社「週刊ヤングジャンプ」連載)
監督:平牧大輔
助監督:猫富ちゃお
シリーズ構成・脚本:田中 仁
キャラクターデザイン:平山寛菜
サブキャラクターデザイン:澤井 駿
総作画監督:平山寛菜、吉川真帆、渥美智也、松元美季
メインアニメーター:納 武史、沢田犬二、早川麻美、横山穂乃花、水野公彰、室賀彩花
美術監督:宇佐美哲也(スタジオイースター)
美術設定:水本浩太(スタジオイースター)
色彩設計:石黒けい
撮影監督:桒野貴文
編集:坪根健太郎
音楽:伊賀拓郎
音響監督:高寺たけし
音響効果:川田清貴
アニメーション制作:動画工房

<CAST>
アイ:高橋李依
アクア:大塚剛央
ルビー:伊駒ゆりえ
ゴロー:伊東健人
さりな:高柳知葉
アクア(幼少期):内山夕実
有馬かな:潘めぐみ

<公式サイト>
https://ichigoproduction.com/

<公式Twitter>
https://twitter.com/anime_oshinoko

<原作情報>
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