【部活どうなる(2)地域移行】負担大でボランティア限界…先駆ける白岡市、慎重に検討 一方で利点も大

バスケットボールを指導する元プロ選手の青山景子さん=白岡市立菁莪中学校

 埼玉県白岡市は全国に先駆け、2021年秋から部活動の地域移行に取り組んできた。市内には四つの中学校に計50の部活動(運動部35、文化部15)がある。うち、1年目は7部、2年目は10部で週末の活動を地域に移行。外部の指導員を受け入れ、複数校の部活を合同で実施、週末のみの新しい合同部活動も新設するなど、事業を広げている。

 市が週末の部活動を外部団体に委託し、団体が運営する。団体は体育館や校庭など学校施設を管理。指導員や生徒は団体に登録し、週末に参加する。学校での活動とは別に、新しい保険にも加入している。

 市は初年度、「保護者の理解が不可欠」という考えから地域団体に委託し、PTAが中心となって運営が始まった。しかし施設の管理や指導員の派遣など負担が大きく、2年目は企業に受託先を変更することに。「ボランティアでは限界があった」との反省を踏まえ、市教委は今年9月からの3年目について委託先を慎重に検討している。

 部活動の地域移行のメリットは、各競技で経験や実績、ライセンスを持つ指導員が指導できることだ。

 市立菁莪中学校の女子バスケットボール部を指導する青山景子さんは元プロ選手。大学でコーチを務め、指導のライセンスも持つ。練習では生徒の動きに目を凝らし、細かく声をかける。指示を受けた生徒は「シュートする時のフォーム、ドリブルのボールのつき方、詳しく動きを教えてもらえて楽しい」と喜んだ。

 地域移行を機に男子のバスケを指導した安達健さんは休憩時間も部員との対話を続ける。自身の経験を踏まえ、「技術の詰め込みだけでは嫌になる。楽しくやって技術も身に付ける。バランスが大切」と笑顔を絶やさない。同部の生徒も「とても丁寧に教えてくれる。意見も聞いてくれる」と汗を拭った。

 平日、生徒たちを見守る顧問の若手教諭はバスケの経験がない。自らも研修などで忙しい中、部活動を指導していた。部活動の地域移行に教諭は、「子どもたちは充実している。私も自分の時間が増えた。教材研究や自身のスキルアップに使えている」と互いにメリットがあると口にした。

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