「独裁者」発言、中国反発に苦慮 バイデン氏、対中強硬論を意識

ホワイトハウスを歩くバイデン米大統領=21日、ワシントン(ゲッティ=共同)

 【ワシントン共同】バイデン米大統領が中国の習近平国家主席を「独裁者」と呼んだ発言に中国が猛反発し、米政府が対応に苦慮している。ブリンケン国務長官の訪中による緊張緩和の機運が損なわれるとの懸念が噴出する一方で、バイデン氏は再選を目指す来年の大統領選に向けて国内の対中強硬論に配慮する必要があり、バランスに腐心している。

 国務省のパテル副報道官は21日の記者会見で、大統領の発言により現政権の閣僚で初となったブリンケン氏の訪中の成果が台無しになるとの指摘に「そんなことは全くない」と反論した。

 バイデン氏は20日、カリフォルニア州で開かれた政治資金パーティーで、中国の偵察気球がルートを外れて1月末~2月初めに米本土を飛行したことを「習氏は知らなかった。何が起きているか知らないことは独裁者には大きな恥になる」と指摘した。

 発言はアドリブだったとみられ、高官らも知らされていなかったという。中国外務省は21日に「強烈な不満」を表明、関係安定化に向けた首脳会談の調整に影響しかねないとの見方が出ている。

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