16年ぶりに “農家出身” 県議 30代の新人議員「農家の声を県政に」 広島

「議員」といったら、どんなイメージをもっていますか? 4月の広島県議会議員選挙で初当選した議員の中に最近では珍しくなった農家出身者がいます。農業をめぐる状況が厳しい中、農家の声を県政に届けたいと意気込む新人議員…。期待に応えることはできるのでしょうか。

八幡原圭 さん、34歳。農家出身の県議会議員の誕生は16年ぶりです。東広島市で農業法人を経営、「サムライねぎ」というネギを生産しています。

4月の県議選では出身地の三原市・世羅郡選挙区から立候補。3つの議席を5人が争った中、3番目で初当選を果たしました。

出陣式の第一声で集まった農家にこう訴えました。

16年ぶり “農家出身” 新人県議 八幡原圭 さん(4月の県議選で)
「農家のみなさん、わが子に『農業なんてしない。するな』とさみしい言葉をかけなくていい。食料を生産しているのをしっかり誇りを持って仕事をしています。その声をしっかりと県政に届けていきましょう」

あれから2か月…。八幡原さんは、選挙区内の農家を回っていました。

清流の郷 泉戸野勉 会長
「この人やったら、リーダーになっていただけるんじゃないかということで、救いの神くらいに頼もしく思っています」

この日、訪れた三原市 久井町の集落法人は、赤シソの出荷作業の真っ最中でした。

この法人では赤シソもコメも取引先との契約栽培で堅実な経営を誇っています。しかし、法人の会長が八幡原さんに話したのは、将来への危機感でした。

清流の郷 泉戸野勉 会長
「農業の担い手、あと10年もすると、もうほとんどいなくなっちゃうと。農業法人がダメになったら、集落もダメになると。限界集落が本当、目の前に来ているような状況です」

法人で働く組合員は現在、ほぼ全員が65歳以上の高齢者…。10年後、集落での農業はできなくなり、生活も維持できなくなるというのです。

会長は、▽「現在の集落法人を収入面も含め若い人が働きやすい形に変えていきたい」、▽「そのための環境整備に協力してほしい」と訴えました。

八幡原圭 県議(34)
「農業者が今こそ前に出て、どんどん、どんどん発信していく、商業・工業の方がたと連携ができて、目指すところなのかなと思っています。外部環境の整え方というのは自分だったり、行政を活用しながら、こう整えていく」

柴田和広 記者
「県内の農業をそれぞれの地域で支えているのが、集落法人です。『あと何年、法人の経営や集落の維持ができるのか?』と3年前、広島県がたずねたところ、『10年未満』という回答が全体の8割近くに上りました。中でも『5年未満』と答えた法人が4分の1余りありました。背景にあるのが深刻な高齢化です。働く人の8割以上が、65歳以上の高齢者が占めています」

食料の多くを輸入に頼る自給率の低さが問題となる一方で、肝心の食料の生産現場では人がどんどん減っている事態…。農家出身の新人議員は、どう対応するのでしょうか?

八幡原圭 県議
「現場を回らせてもらって、課題っていうのが、すごい多いと感じているので、1つずつ前に進めていくのが任務なのかなと思っています」

初めての活動の場となる6月議会は、あす23日、開会します。

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