“やさしいパパ”と朝の緊急電話 工藤遥加「本当にひどかった」

レギュラーツアー初優勝を目指す(撮影/大澤進二)

◇国内女子◇アース・モンダミンカップ 初日(22日)◇カメリアヒルズCC(千葉)◇6650yd(パー72)

「きょうはスイングが崩れていて、思った高さよりも低く出ていた。本当にひどかった。これダメだと思って、お母さんに連絡した」

工藤遥加が朝の練習場で青ざめた。何度振ってもイメージ通りの球が出ない。ティオフの時間が迫る中で、思わず電話を手に取った。

父は投手としてプロ野球の西武などで活躍し、“優勝請負人”とも呼ばれた工藤公康氏。過去にはコーチとしてもツアー会場を訪れることがあった。

調子が出ないこの日の朝、母との会話に加えて父とも言葉を交わした。「『お前はいつも同じこと言っているんだよ』って。いつもってことはコレか」とホットラインでのアドバイスを素直に受け止めた。

ゴルフと野球、競技こそ違うが父のプロスポーツに臨む厳しい態度に「昔は家にいるライオンのようだった。マジ怖い。今はやさしいパパ」と振り返る。昨年までのコーチと選手から、今は父と娘という適度な距離間がプレーにも良い影響を与えている。

5月の下部「ツインフィールズレディース」でツアー初優勝をあげ、ウィニングボールは父にプレゼントした。「書斎にあると思うが、飾っているのかな…。『どっかいった』って言いそう。飾らない工藤家、過去のことなので」と次の勝利を見据えている。

5バーディ、1ボギー「68」でプレー(撮影/大澤進二)

この日は前半8番パー5で85ydから58度で1.5mにつけてバーディ。続く9番パー3も8Iで3mにつけて連続バーディを奪った。5バーディ、1ボギーの「68」でプレー。レギュラーツアー初優勝へ向け首位と2打差の8位で滑り出した。

「一日一日、一打一打もったいないことせずに自分のゴルフができたらいい」。賞金総額3億円、優勝賞金5400万円がかかる一戦も静かに気持ちを高めた。(千葉県袖ケ浦市/玉木充)

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